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アルペジョーネの楽器出所



ピリオド楽器としては、ライプチッヒ大学楽器博物館 1824年製、ニュルンベルグ国立楽器博物館 1825年製、プラハ国立楽器博物館 ウィーン 1832年製などがシュタウファーとその弟子ミッテリスの作品である。その他はこれらのコピー(レプリカ)楽器と属される。

*ライプチッヒ大学 楽器博物館1824年製 シュタウファー作

Johann Georg Staufer, Vienna, 1824. Musikinstrument-Museum,  Karl-Marx-Universitat,  Leipzig

音楽辞典ではよくこの楽器が紹介されている。くびれが極端で、C字孔が長いが、この傾向はバイオリンでいうシャーノフ・モデルに似ている。個人的に私はこのモデルをあまり好まないが、F字の穴よりもハの字で太く魂柱の確認が容易かもしれない構造的な利点があるかもしれない。

デュセルドルフの楽器工房・ヘニング・アシュアウア(Hening Aschaur)は、アルフレッド・レシングの演奏のためにこのモデルを1971年に製作した。

(出典: Musik fur Arpeggione, FCD368392-CDジャケット解説より引用)


ベルリンの楽器博物館でドイツ語の紹介記事が以下にある。

出典:http://www.sim.spk-berlin.de/deutsch/mim/arpeggione.html


シュタウファー作のほか、弟子のアントン・ミテイス(Anton Mitteis)作の楽器も有名。

出典: http://www.sim.spk-berlin.de/deutsch/shop/frameset_detail_artikel.php?ID=128

ミテイスの問題点: 

筆者はこの図面を鑑定した場合、次のようなポイントを指摘する。

*弦長667mm、駒角度はチェロとほぼ同様であるだけに、テンションが強い。

→1800年中期だとガット弦が主流だったことと考えると、このテンションではガット弦の調整が安定せず、しかももろく寿命が短かっただろうと推測される。

*ペグボックス=極端に狭い

→糸巻や弦交換などでやりずらい

*補強材が軟弱

→C字孔部分に補強材を用いているが左右1対しかなく側面の外圧に弱い

→魂柱を受ける横板の厚さが薄すぎ、裏板も極端に薄い、ガンバ構造となっているため、楽器として全体の強度が弱い。

ミテイスの改良点:

→側板のブロックを4ケ所に設置し、強度を高める。

→、裏板はチェロのようにカエデ材で船底に削り、魂柱からの圧力分散し楽器の強度を保つことが肝要。




更新日:2009-08-15 16:23:13

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