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サードリフレクション

 あたいの名前はミレーニアン・レジメンタル……今年で二十八ね。非処女にして奪い屋レジメンタルのリーダー。今年も華麗に奪ってゆくわん。

 フウ、ヘンテイ新聞への因縁は此れで終わったわ。奴等への復讐をするのに少し時間を掛け過ぎたわ。あたいを滅茶苦茶にした新聞社はあたいの手で決着を付けないといけなかった。其れが漸く叶って少し一安心。でも未だ未だあたいには決着を付けたい人が一人居るわん。

 ヒューマニー・ビーゴ、可愛い可愛いヒューマニー。貴女が如何して父と母を其の手に掛けたのかを永遠に理解する事が出来ないわ。あたいの精神を理解出来ないのと同じように貴女の其の歪んだ精神性を理解出来ないの。でも、何となくだけどヘンテイ新聞工場を襲撃した時に一度だけ貴女が持つ其の悲観思考を理解し始めた気がするわん。

 此の漆黒の精神とは真逆に位置する如何しようもない正当化の精神こそが貴女が抱える物なのねん。わかったわん……でも、あたいには無理よ。こうゆうのは性に合わないわ。貴女の気持ちを知る機会だったけど、やっぱり自分の産みたい子供を死なせた罪は軽くないわ。あたいは母に成るという楽しみを貴女は自分の嫉妬の為に……何度目だろう。何回目という表現が正しいかしらん……お喋りじゃないのだからそんな事に一々、付き合い切れないわ。

 今のあたいは仲間に恵まれ、漸く心を通わせる事が可能に成って来たわん。一体何時からこんなに仲間との絆を深めるのが楽しいと思ったのかしらん? あ、御免ね。レジメンタルの皆は妹分なのに仲間扱いされていないように語っているような物ねん。いけないわん、あたいったら。あの子達は言わばあたいが持てなかった物を十分に持っている。でも、此処迄あたいを楽しませたのはやはりあの男との出会いからかしらん?

 あの男……まさか此処迄のカリスマ性を備わるとは。でもあの男は其れだけの邪悪さとカリスマ性を秘めながらも覇者に成る事を好まない。あの男が目指すのは永遠の孤独……悪の求道、あたいが言える事は其処迄ね。兎に角、あの男との出会いがあたいに問題解決と一つの壁を乗り越える機会を与えたのん。

 楽観にはない問題解決方法が其処に在るの。事実、あの男は意識なのか無意識なのかあたいに的確な助言を与えてくれたわん。中々やるわねん、流石よ。でも……ね、悪を正当化する程あたいは其処迄悪を推奨しないわん。あの男との旅が終わったらきっとレジメンタルの皆と他愛もない生活に戻り、あの男とは二度と会わないわん。流石に命知らずのあたいもあの男との旅は幾つ在っても足りないわ。

 とまあ、こんな感じで愈々あたいの物語も終局へと向かって行くわん。さあ、ドンと来なさい……あたいは非処女の星、輝きは何時迄も増しているんだからねえん!

更新日:2019-09-07 20:51:36

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