官能小説

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サボり

 9月17日金曜日。昨日も遅くまで課長と抱き合っていて、今朝はなかなか布団から出ることが出来なかった。眠くて眠くて仕方ない。
 俺は、自覚があるほど寝起きが悪かった。それを課長も分かっているのか、毎朝、俺が勝手に起きるまで待っていてくれる。でも、今日は時間切れなようだ。課長が俺を起こしに来た。
「りっくん、もう起きないと。遅刻するぞ?」
 分かってるけど、眠い…。体が動かない。動きたくない…。
「りっくん!」
 強めに体を揺すられ、俺は条件反射で布団を蹴り上げ、そのまま課長を蹴飛ばそうとして止める。いや、課長に止められた。―――まずい…。やっちゃった…。
「―――ごめんなさい…」
「びっくりした…。そんなに眠いなら、今日は、会社休む?」
 蹴ろうとした俺を叱りもしないで、課長は心配そうな顔で俺にそう言う。―――なんて… なんて優しい人なんだろう…。
「たぁくんも… 休んでくれる…?」
 課長は困った顔をする。本当に、困っている。俺の我が儘に、付き合おうとしてくれている…。
「ごめん、りっくん…。俺は、今日はどうしても休めないよ…」
 そんなの分かってる。でも、どうしても眠かった。起きられない。
「じゃ、こうしよう。りっくんは、今日一日、休みなさい。俺は、午後半休を取って、昼には帰ってくるから。りっくんの有給届は、俺が勝手に書いて出しておくよ。それでいい?」
 課長はもう身支度を整えて、出掛けるばかりだった。腕時計もしているし、髪も整っている。
「俺、急に休んで、変なふうに思われない…?」
「変なふうって?」
「分かんないけど…」
 俺が休んで、課長が午後から休んだら、もっともっとみんなに白い目で見られそうな気がする。別に、悪いことをしているわけじゃないのに…。
「気にするな、りっくん。―――遅刻するとまずいから、もう行くよ? 朝ご飯は準備してあるから、しっかり食べて。もし出掛けるなら、テーブルに合鍵を置いておくから、戸締まりだけはよろしくね」
 優しい…。病気でも何でもないのに、休ませてくれるなんて…。
「じゃ、いってくるね」
「うん、いってらっしゃい」
 課長は俺の額にキスをしてから部屋を出て行く。これじゃ完全に『サボり』だけど、俺は本気で眠かった。課長がいなくて淋しいけど、折角くれた休みだから有意義に使おう…。

更新日:2017-10-26 16:19:17

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