スピリット・エンフォーサー戦記1005 第2章

 夜の帝都ラスタバンを震撼させた、龍帝国ドラゴリオン歴史上最大の不祥事とまで言われていた『ロプトウスの乱』。


 争いを回避する最後の手段であったカイザードラゴン直々の説得虚しく、狂気と絶望に囚われたロプトウスの族長ドレアムとの互いの全てを掛けた激しい一騎打ちの末に敗北し、倒れ付した生ける伝説の英雄・龍帝ゴスペル。


 だが、それでも諦めずに立ち向かった多くの『誰か』の、6名の若者達の尽力によって―歪んだ道を選んでしまった、『誰よりも誇り高き騎士』と呼ばれた老騎士の蛮行は阻止された。


 龍帝国ドラゴリオンはようやく『建国千年記念祭』を迎え、長期療養が必要となった父君・カイザードラゴンの代理であり『天龍帝暫定位』、つまり次期龍帝候補者として次男、リュウト・グラン・マイセンが立ち上がり、龍帝国ドラゴリオンは束の間の平和を実感する暇も無く、数年後にまで迫っていた『最後の試練』の存在を知る事も無く、ただ忙しく過ぎる日々が始まった。



 そんなドラゴリオンにアベルとラケシスを残し、セリオスと別れた2人の若者は、百獣王・朔夜翔虎と共に南方大陸北部に位置する同盟国『双月王国』へと向かうのだった。


 これは後の歴史で『古代大戦』と呼ばれる大いなる戦いを生き抜き、再び平和の未来を取り戻し―『次なる時代を切り開いた』6人の若者達と、彼等を支えた多くの人々の『生き様』を綴った物語。


*人間は元より、竜人、獣人など様々な種族が登場する王道ファンタジー路線の戦記物の第1章です。
 『戦争』を扱う為、流血やグロテスクな表現を含む時も有りますので、苦手な方はご注意を。

 序章からの続きですので、宜しければそちらからお読み下さい。