★【5】そうだ、ドルフィンへ行こう!(原稿用紙376枚)

この作品は、杉並区のN中学に通う4人の同級生のドタバタ劇を描いた『校内放送でビートルズ(307枚)』、そしてその中学から偶然練馬区の同じS高校へ進学した4人の3年間の高校生活の様子を描いた『府立第14中~青春グラフィティ!(374枚)』の延長線上の作品として書き上げた作品です。

物語は40年前にその4人のうちの1人が独り暮らしをしていた街(神楽坂)を、主人公が60歳定年を迎えて訪れるところから始まります。
同じ高校へ進学したのは優等生、理屈屋、番長、そして優柔不断な主人公の4人。

その主人公の定年間際の職場での若者との葛藤などのエピソードを中心にしつつ、後日談として他の3人の大学生活を経過して社会人として歩んだ後、衝撃的に再び主人公の前に現れた姿なども淡々と描いてみました。

セピア色の世界の中4人は最後の夜を神楽坂にあるアパートの1室で過ごし、一晩中深夜放送の話などで盛り上がり、ひょんなことからドルフィンへ飛び出して行く。

中学時代から大学卒業までだらだらと続いていた時間に決別して、いよいよ社会に飛び出す間際の一晩の珍道中《ユーミンの歌詞に出てくる横浜のドルフィンを目掛けて真夜中のドライブに出掛けて行く》を、物語の最後のシーンとして描写しました。

この物語全編を通して、60歳を迎えた主人公が神楽坂の街を懐かしく徘徊する光景を絡ませながら、1970年代の青春時代とその後の4人のドラマを再現したりして《そうそう、そんなこともあったよね》とノスタルジックな気分に浸りながら読んでいただければ思います。