ザ・サード

手術室の棚には、ホルマリン漬になった小さな胎児が存在した。ホルマリンの中で小さな生命体がゆらゆら浮遊していた。二〇〇万分の一の確率で、滅多にいない一卵性三つ子のひとりだった。天国へ行きそびれていた彼は、道案内になってくれる兄弟を探すため、南の島から出て都会の大人の事情の渦に巻き込まれていく。