漱石の六不思議を漱石俳句・詩から解明 (砂崎枕流ー笹崎達夫)

 漱石の生涯と創作活動において、いくつかの不可解な点(七不思議)が挙げられる。これらについて自称「漱石の弟子」の砂崎枕流が、古今東西の漱石研究家が書き上げて来た書物を横目に、オリジナルな見解を述べることにする。砂崎枕流の日頃の独り言は「素人の意見・見解が最も本質をついているものだ」である。
 
 漱石の2600余の俳句は漱石の生涯を記録したメモリーチップである。この中にあるあまたのデータは見渡した景色、それを元に考えたこと、または先人の智慧・作品または自分の思想をユーモアを持って脚色した俳句である。これらは小説とは異なって内心を比較的正直に記述している。これらを解読し、組み合わせることで漱石の全体像が浮かび上がる。
 漱石の俳句は隠語、暗号を用いて簡単には判読できないようにしてあった。そうであるから赤裸々に漱石を俳句の中に表現している。だがそれを突破する解読はかなりが進行している。
 
 漱石の小説は濃厚でユーモアがあって面白いが、俳句から見えてくる漱石像は更に面白い。

  ところで「漱石の六不思議」とは何であるか。
1. 英国に留学したのに帰国後英文学教師の仕事が嫌になった。その訳は。
2.漱石の神経衰弱はいつからなのか。楠緒子は無関係なのか。
3. 漱石は魂の存在を認めていたのか。自身の臨死体験とは。
4.大塚楠緒子と保治と漱石の三角関係は何故隠されたのか。
5. 寅彦に言った「俳句はレトリックの煎じ詰めたものである。扇のかなめのような集注点を指摘し描写して、それから放散する連想の世界を暗示するものである」とは。
6.漱石は俳句で身を立てようとしたことがあったのか。

 
*表紙画はホクサイマチス作の「漱石とマドンナたち」
*著者紹介: 1949年(昭和24年)生まれ。53歳で退社し、技術事務所を開設(技術士、コンサル)。画号はホクサイマチス、俳号は砂崎枕流