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小説

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ふたつの時計

唖然としてしまった。早食いの練習でもしているのかと思った。時間にしてほんの2、3分、瞬く間に丼を平らげた少女は、コップ一杯の水をも一瞬で飲み切った。
 何だこの速さは、胃に悪いぞ。 感心を通り越して身体の心配をしてしまった。 空になったコップをテーブルに置いた少女は、次に左手の腕時計を顔の前に持って行った。
「何だそうか、時間がなくて急いでいたのか」
 納得して少女から目を離した瞬間、辺りに強烈な閃光が走った。思わず目を瞑り、再び目を開けた時は少女は店の外にいた。ガラス窓の向こうの横断歩道を悠然と渡っている。2人いる店員はと見ると1人は厨房の中に、1人は入り口に背を向けてテーブルの上を片付けていた。
「おいおい店員さん、食い逃げされてるぞ」
 言いかけて口をつぐんだ。

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