• 作品を探す:

小説

携帯でもPCでも書ける!

★【112】AVALON(原稿用紙100枚)

 18歳の時に初めてギターを手にした寛介は、プロのギターリストとして活動していた。ある日突然寛介は左手を自由に動かすことが出来なくなり24歳になったばかりの寛介は、局所性ジストニアと診断される。

絵梨香は大学時代にカメラの魅力に取りつかれて、大学卒業後の就職せずに写真専門学校へ1年通った。専門学校を出て1年たった絵梨香は、24歳でフリーランサーのカメラマンとして1年目を迎えていた。

そんな絵梨香は何でも撮れる便利屋のカメラマンになるのか、それとも自分が魅力を感じる特定のジャンルの写真にこだわったカメラマンになるべきかなかなか結論を導き出せないでいた。

突然1日中手にしていたギターを取り上げられた寛介は、部屋の中に引き篭っていた。そんな寛介は、ふとFMから流れて来たユーミンのAVALONを聞いた。《還り来ぬ日々を嘆くなかれ 残されしものに力を見よ 苦しみの末に君を解き放て 永遠を刻め自由に》という歌詞が、寛介の胸に突き刺さった。

寛介は翌日北海道に飛び、朝靄の牧場の中で疾走するサラブレッドを見つめながらユーミンのAVALONを聴いた。そして《過去を顧みることなく今自分に残されているものを大切にして、これからやってくる風景に向かって駆け抜けよう》という自分なりのメッセージを受け取った。

絵梨香は仕事で競馬場の風景を撮る仕事が舞い込み、絵梨香は初めて見るサラブレッドの美しさに魅了される。絵梨香はどうしても牧場で疾走するサラブレッドの写真を撮りたくなって北海道に飛ぶ。

北海道新冠町の早朝の牧場で、絵梨香は疾走するサラブレッドをずっと眺めていた寛介の後ろ姿越しにサラブレッドの写真をカメラに収めた。偶然出会った寛介と絵梨香は、その日1日だけ、海に沈む夕陽と夜空一杯に光り輝く星屑を眺めた。
 
東京に戻ってきた絵梨香は、北海道で撮ったサラブレッドの写真展を開くこととなった。東京に戻ってきてからも寛介に逢いたくてたまらなかった絵梨香は、寛介に写真展の招待状を送る。

絵梨香からの写真展の招待状を受け取った寛介は当日行くつもりだったが、その日に限ってある突発的な用事への対応を迫られる。その日コンサート直前に事務所バンドのギターリストが交通事故にあい急遽寛介が代役としてギターを必要に迫られて握ることになる。

果たして寛介は絵梨香の写真展に間に合うことができるか・・・?