★【68】ゲーテが教えてくれた愛のシーズン(原稿100枚)

主人公智巳は、大学院の博士課程でドイツ語を研究している院生で30歳を迎えていた。智巳は高校時代にたった1人だけ想いを伝えた女性がいた。

だがその女性はある日突然交通事故で亡くなってしまった。その苦しみから逃れるために智巳は偶然高校の図書館でヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの《若きウェルテルの悩み》を手にした。

一方そんな智巳がアルバイトで講師をしていた音楽学院に通っていた由香里も幼い時に両親を交通事故で亡くしていた。奇しくも同じ想いを寄せた人をある日突然亡くした喪失感からくるトラウマから抜け出すことが出来ていない智巳と由香里が出会った。

物語は智巳の学術論文作成と由香里の音楽療養士資格取得が進んで行く中で、《自分独りが愛することができて、今までにこれほど愛した人はなく、今後もこれほど愛する人は出てこないと信じられた時、それが真実の愛のシーズンである》と言うゲーテの言葉が智巳と由香里の間で揺れ動く。

そして最終的に、2人にとってこの言葉はどんな意味のある言葉になっていたのか・・・?