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イケてる女子
「学校の皆から認められるって何人と友達になればいいの?」
私とたかみなはさっそくセンターに向けて動き出した。
しかし、センターに向けて動き出す前に、まずは目標を決めなければならない。
友達100人できるかな、という歌があったが、全員と友達になったらそれどころの人数ではない。
「もちろん、学校中の1人1人と仲良くなろうなんて思ってないよ」
「ふーん。じゃあ誰と友達になるの?」
「友達が多い人。友達が多い人と友達になれば友達増えるでしょ?」
「うーん……そんなものかな」
「そんなものだって。だからそういう人に絞っていく。私だって顔は狭くはないからね」
確かに、『友達の友達』というつながり方もなくはないと思うが、自称『顔は狭くない』たかみなの友達と私は1人も仲良くない。
そういった不安はあるが、結局は1人ずつ作っていくのだから誰から始めようと同じだろうと納得することにした。
「で、具体的に誰と友達になるの?」
友達が多い人と友達になる、とは言っても私は検討もつかない。
「一応1人ターゲットは決めてあるよ」
「へー。誰?」
「まあ、百聞は一見にしかず。見に行こう。B組だから」
A組である私たちのクラスのすぐ隣のB組にターゲットはいるらしい。
ドアからそっと覗きこんで様子をうかがう。
「ほらいた。あの子だよ」
たかみなの説明を聞くまでもなく彼女がターゲットであることはよくわかった。
彼女を中心にクラスの輪が出来ていて、『友達が多い』と評するには十分だ。
髪の毛は茶髪でロングで少しパーマがかかっている。
メイクもバッチリでオシャレ。いわゆる『イケてる』風だ。いや、実際イケてるからあれだけ慕われているのだろう。
見た目だけなら自分よりもむしろたかみなと気が合いそうなタイプだ。
「1年B組、板野友美。見てわかるでしょ、B組であきらかに中心になってる」
「うん……わかるけど……」
「あの子と友達になれば、もうB組全員と友達になったも同然だよ。いくしかない」
「いやたかみな……あれは無理でしょ」
「どうしてよ?」
「見てわかるじゃん。かわいくてオシャレでメイクもバッチリ。私と正反対だよ」
「うん……まあ正直そう言うと思った」
「なんだよー。じゃあチョイス間違ってるよ。違う人にしよ」
「逃げちゃダメだって。大丈夫、私がきっかけ作るから」
「きっかけ?」
「言ったじゃん。顔は狭くはないよって」
「え? どゆこと?」
「私あの子ともう知り合いなの。先に雰囲気作ってきてあげるよ」
そう言ってたかみなは意気揚々と教室の中へ入っていった。
私はその様子を教室の外でうかがう形となった。
「おお、たかみなじゃん」
「おーす、ともちん」
「皆、この子たかみなって言うんだよ。小さくてかわいいよね」
「どうも、高橋みなみでス!」
「たかみなってすっごい面白いから。いつものすべらない話やってよ」
「ええ、いきなりっすか?」
あれ、たかみなってすべらない話なんてできたっけ。そんな疑問が私の頭によぎった。
「うん。お願い」
「しょうがないなー。あのー、めっちゃ面白い話なんですけど……」
それから先は目も当てられなかった。
板野友美に「つまらない」とバッサリ切られる姿は涙ものだ。
このとき、それだけ顔が広いならたかみながセンターを目指せばいいんじゃないか、という疑問が解決された。
「で、ひたすらすべり倒して、どう紹介してくれんの?」
「ごめん、あっちゃん。めっちゃ面白い話だと思ったんだけど」
「話す前にハードル上げすぎなんだよ! あとオチを言う前に自分が笑うとしらけるんだって」
「うわあ、それマジのダメ出しじゃないですか」
「もういいよ。板野さんは諦めて、他の人にしようよ」
「そんなにともちん嫌なの?」
目の前であの大惨事を見せられて、じゃあ次は私が、と向かっていけるわけがない。
やはり、B組のセンターだけあって、あの見た目とあの淡白な性格は曲者かもしれない。
「まあ、とりあえず様子見よう」
私とたかみなはさっそくセンターに向けて動き出した。
しかし、センターに向けて動き出す前に、まずは目標を決めなければならない。
友達100人できるかな、という歌があったが、全員と友達になったらそれどころの人数ではない。
「もちろん、学校中の1人1人と仲良くなろうなんて思ってないよ」
「ふーん。じゃあ誰と友達になるの?」
「友達が多い人。友達が多い人と友達になれば友達増えるでしょ?」
「うーん……そんなものかな」
「そんなものだって。だからそういう人に絞っていく。私だって顔は狭くはないからね」
確かに、『友達の友達』というつながり方もなくはないと思うが、自称『顔は狭くない』たかみなの友達と私は1人も仲良くない。
そういった不安はあるが、結局は1人ずつ作っていくのだから誰から始めようと同じだろうと納得することにした。
「で、具体的に誰と友達になるの?」
友達が多い人と友達になる、とは言っても私は検討もつかない。
「一応1人ターゲットは決めてあるよ」
「へー。誰?」
「まあ、百聞は一見にしかず。見に行こう。B組だから」
A組である私たちのクラスのすぐ隣のB組にターゲットはいるらしい。
ドアからそっと覗きこんで様子をうかがう。
「ほらいた。あの子だよ」
たかみなの説明を聞くまでもなく彼女がターゲットであることはよくわかった。
彼女を中心にクラスの輪が出来ていて、『友達が多い』と評するには十分だ。
髪の毛は茶髪でロングで少しパーマがかかっている。
メイクもバッチリでオシャレ。いわゆる『イケてる』風だ。いや、実際イケてるからあれだけ慕われているのだろう。
見た目だけなら自分よりもむしろたかみなと気が合いそうなタイプだ。
「1年B組、板野友美。見てわかるでしょ、B組であきらかに中心になってる」
「うん……わかるけど……」
「あの子と友達になれば、もうB組全員と友達になったも同然だよ。いくしかない」
「いやたかみな……あれは無理でしょ」
「どうしてよ?」
「見てわかるじゃん。かわいくてオシャレでメイクもバッチリ。私と正反対だよ」
「うん……まあ正直そう言うと思った」
「なんだよー。じゃあチョイス間違ってるよ。違う人にしよ」
「逃げちゃダメだって。大丈夫、私がきっかけ作るから」
「きっかけ?」
「言ったじゃん。顔は狭くはないよって」
「え? どゆこと?」
「私あの子ともう知り合いなの。先に雰囲気作ってきてあげるよ」
そう言ってたかみなは意気揚々と教室の中へ入っていった。
私はその様子を教室の外でうかがう形となった。
「おお、たかみなじゃん」
「おーす、ともちん」
「皆、この子たかみなって言うんだよ。小さくてかわいいよね」
「どうも、高橋みなみでス!」
「たかみなってすっごい面白いから。いつものすべらない話やってよ」
「ええ、いきなりっすか?」
あれ、たかみなってすべらない話なんてできたっけ。そんな疑問が私の頭によぎった。
「うん。お願い」
「しょうがないなー。あのー、めっちゃ面白い話なんですけど……」
それから先は目も当てられなかった。
板野友美に「つまらない」とバッサリ切られる姿は涙ものだ。
このとき、それだけ顔が広いならたかみながセンターを目指せばいいんじゃないか、という疑問が解決された。
「で、ひたすらすべり倒して、どう紹介してくれんの?」
「ごめん、あっちゃん。めっちゃ面白い話だと思ったんだけど」
「話す前にハードル上げすぎなんだよ! あとオチを言う前に自分が笑うとしらけるんだって」
「うわあ、それマジのダメ出しじゃないですか」
「もういいよ。板野さんは諦めて、他の人にしようよ」
「そんなにともちん嫌なの?」
目の前であの大惨事を見せられて、じゃあ次は私が、と向かっていけるわけがない。
やはり、B組のセンターだけあって、あの見た目とあの淡白な性格は曲者かもしれない。
「まあ、とりあえず様子見よう」
更新日:2011-06-15 02:29:35