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小説

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ふと、さっきよりも周囲が明るくなったことで帝辛は我に返った。
日の出には、まだまだ早い。

周りの木々がぼんやりと青白く輝いているのだ。
青白いものがヒラヒラと降ってくる。

「・・・・花弁?」
「桃の花よ」
煌凛がそう答える、
甘い香りする、ひらひらと舞い落ちる花弁や花粉がとても美しい。
その桃の林を抜けて、馬は川の上流の方へと走っていった。

馬は林が開けた場所で止まった。
その光景に帝辛は思わず息を飲んだ。

滝の音とせせらぎが聞こえる。
見ると、見事な滝が対にそびえ
その周りを桃林が覆っているのだ。

中央に、瓦礫のような建物がある。
風化していてよく解らないが、太い幹の柱、そして土壁の骨組み。
昔、ここに住んでいた人間が居たのだろうか?

屋根も無く、建物としての役割はまったくしていなかったが
月が明るく照らす、この美しい光景に屋根など不要だった。

建物の壁にもたれ、二人並んで座った。
春とは言え、まだ肌寒い
自然、二人の距離は短くなった。

「・・・・まずは自分を大事にして欲しい」
煌凛はそう呟く。
「自分がしたいように相手に接して・・・帝辛は優しい人だもの、きっと大丈夫」

「優しいだと?」
そんなことを言われたのは初めてだ。
「いつ我がそのような態度を取った?」
憶えてないの?というように煌凛は驚く。

更新日:2011-04-23 15:42:15