• 作品を探す:

小説

携帯でもPCでも書ける!

  • 21 / 27 ページ

8

冷静になれる場所が欲しかった。
・・・今日の自分はどうかしている、こんなに疲れた一日は初めてだった。

あの女は、何故、あんな風に言ったのだろう。
付き合う前から、避けられる、自分には馴れた事だった。
心を許し、弱い部分を見せるから傷つくのだ・・・ならば、いっそ見せずに生きて行きたい。

それをあの女は許せないという。
避けられるのが嫌で避けたこと・・・彼女が許していた心を自分が傷つけたと言うのだろうか?

・・・・どうかしている。

今の自分の事だ、たかが子供の癇癪ではないか、何故こんなに必死で悩んでいるのだろう?
しかし、今、考えなければならない・・・そういう気持ちに囚われる。

食事もとらず、帝辛は客間を出た。行動を起こさなければ気がすまない。

・・・理屈ではないのだ。
ただ、あの女が気になっているだけなのだろう。

「おい、お前」
牢屋の中の人物に帝辛は声をかける、煌凛だ。
牢とは言え白い木で格子を作ったもので、実用性はあまりない。
中も明るく、煌凛もまた、声が誰の物なのか一目でわかった様子だった。

「え!?」
怒っている様子は無い、ただ目を丸くして驚いていた。

「これでは待ち合わせの場所に行けぬであろう」
手には牢の鍵を持っている、煌凛の返事を待たず帝辛は牢の鍵を開けた。
煌凛が状況を飲み込むのは早かった、みるみる笑顔が広がってゆく。

「良かった!言い過ぎたと思ってたの」
煌凛は帝辛の手を引く。

「誰かに見つかったら連れ戻されちゃう」
煌凛は馬小屋から、特別気に入っている一頭を出すと、馬に乗り、後ろに帝辛に座るように言う
小さな合図を馬にかけると、馬は勢いよく走り出した。

更新日:2011-04-23 15:39:00