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まだ肌寒いが、あちらこちらで新緑が芽吹き始めている。
天気の良い今日は、その寒さも薄らぎ、馬車に乗った少年はウトウトとした表情で景色を眺めていた。
なだらかな道を護衛を多く従えた馬車の一行が行く。
家もまばらな田舎の村にその姿は違和感がある。
村人が珍しそうに遠くから眺めているのが目に止まった。
もちろん、こんな場所に用は無い。
通り過ぎるだけだった、だが事故が起きた。
「帝辛(ていしん)様、お怪我はございませんか」
ガタン!という激しい音と共に馬車が斜めに傾いた。
「大事ない」
帝辛と呼ばれた少年は、表情を変えることなく、そう答える。
馬車から降りた帝辛は、自分が乗っていた馬車を見て、事情を把握した。
車輪が片方、大破していた。故意でされたものなのか、事故なのかはわからないが、これでは直すのに相当な時間がかかるだろう。
「私が付いていながら申し訳ありません」
先ほど、帝辛に声をかけた男だ。銀の長い髪の優男、整った顔に深い赤の瞳が印象的だ。
「帝鴻(ていこう)、ならば事故ではないという事か」
雰囲気を察して、帝辛はいう。
「さすがは、次期国王になられるお方だ」
そういうと、帝鴻と呼ばれた男はにこりと微笑んだ。
天気の良い今日は、その寒さも薄らぎ、馬車に乗った少年はウトウトとした表情で景色を眺めていた。
なだらかな道を護衛を多く従えた馬車の一行が行く。
家もまばらな田舎の村にその姿は違和感がある。
村人が珍しそうに遠くから眺めているのが目に止まった。
もちろん、こんな場所に用は無い。
通り過ぎるだけだった、だが事故が起きた。
「帝辛(ていしん)様、お怪我はございませんか」
ガタン!という激しい音と共に馬車が斜めに傾いた。
「大事ない」
帝辛と呼ばれた少年は、表情を変えることなく、そう答える。
馬車から降りた帝辛は、自分が乗っていた馬車を見て、事情を把握した。
車輪が片方、大破していた。故意でされたものなのか、事故なのかはわからないが、これでは直すのに相当な時間がかかるだろう。
「私が付いていながら申し訳ありません」
先ほど、帝辛に声をかけた男だ。銀の長い髪の優男、整った顔に深い赤の瞳が印象的だ。
「帝鴻(ていこう)、ならば事故ではないという事か」
雰囲気を察して、帝辛はいう。
「さすがは、次期国王になられるお方だ」
そういうと、帝鴻と呼ばれた男はにこりと微笑んだ。
更新日:2011-04-18 00:12:55