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私は人見知りだ。
そんな自分のことは昔から知っていたが、この世界に入って改めてそれを強く感じた。
AKB48という集団に入り、色んな人と関わらなければならなくなった。
年齢も関係がない、『年下の先輩』だっている世界に入ったのだ。
それは人見知りの私には非常に厳しい世界だった。
同期であるチームBでさえも馴染んでいくのに時間がかかった。
そんな中、私は全国ツアーで大島優子さんのアンダーとして先輩といっしょに踊ることになった。
楽屋のメンバーは私以外全員先輩。
積極的な人なら先輩と話して仲良くなったりもするのだろうが、そんな芸当は私には出来なかった。
それよりも覚えなければならない振り付けが沢山あった。
先輩の足を引っ張らないように、1人楽屋の端っこで練習していた。
しかし、覚える振り付けの量はかなりのものだ。どうしてもわからない振りが出てきてしまう。
誰かに聞こうにも先輩しかいないのではどうしようもない。
そのとき、1人の先輩が話しかけてきた。
「柏木由紀ちゃん?」
「あ、宮澤さん」
基本的に私は先輩を呼ぶときは『さん』付けで呼ぶ。
もちろん2期のさえちゃんも先輩だ。
私はAKB48に入る前からさえちゃんのことは知っていたが、まともに話したのはこのときが初めてだった。
「振り分かる? 教えてあげるよ」
「え、あ、ありがとうございます」
「うん、ほらこっち来て」
さえちゃんはそう言って私を先輩の集まりの中へ連れて行こうとする。
なるべく1人でいたい私にとってはいい迷惑だった。
「あ、いやそんなご心配なく……」
当然私は躊躇してしまう。
「いいから!」
さえちゃんはグイっと私の腕を引っ張った。
このとき私は初めて彼女の手の温もりを感じた。
さえちゃんが強引に私の手を引っ張ってくれたから、私は今先輩と仲良く話せるのだろう。
「あのときから……さえちゃん元気だったなあ」
「ん? なんか言った?」
「いやいやいやいや、別になんでもない。独り言」
「えー、逆に気になるし。教えてよ」
「うーん……いや、さえちゃんって元気だねって」
「えーそんなことないよ、元気に振舞ってるだけだって」
「それにさ……かっこいいよ……」
「え? ちょ、ちょっとゆきりん何言ってんの……恥ずかしいじゃん」
「AKB歌劇団のときのさえちゃん、超かっこよかったんだから」
「あー、あれね。あれは我ながらかっこよかったかな」
そんな自分のことは昔から知っていたが、この世界に入って改めてそれを強く感じた。
AKB48という集団に入り、色んな人と関わらなければならなくなった。
年齢も関係がない、『年下の先輩』だっている世界に入ったのだ。
それは人見知りの私には非常に厳しい世界だった。
同期であるチームBでさえも馴染んでいくのに時間がかかった。
そんな中、私は全国ツアーで大島優子さんのアンダーとして先輩といっしょに踊ることになった。
楽屋のメンバーは私以外全員先輩。
積極的な人なら先輩と話して仲良くなったりもするのだろうが、そんな芸当は私には出来なかった。
それよりも覚えなければならない振り付けが沢山あった。
先輩の足を引っ張らないように、1人楽屋の端っこで練習していた。
しかし、覚える振り付けの量はかなりのものだ。どうしてもわからない振りが出てきてしまう。
誰かに聞こうにも先輩しかいないのではどうしようもない。
そのとき、1人の先輩が話しかけてきた。
「柏木由紀ちゃん?」
「あ、宮澤さん」
基本的に私は先輩を呼ぶときは『さん』付けで呼ぶ。
もちろん2期のさえちゃんも先輩だ。
私はAKB48に入る前からさえちゃんのことは知っていたが、まともに話したのはこのときが初めてだった。
「振り分かる? 教えてあげるよ」
「え、あ、ありがとうございます」
「うん、ほらこっち来て」
さえちゃんはそう言って私を先輩の集まりの中へ連れて行こうとする。
なるべく1人でいたい私にとってはいい迷惑だった。
「あ、いやそんなご心配なく……」
当然私は躊躇してしまう。
「いいから!」
さえちゃんはグイっと私の腕を引っ張った。
このとき私は初めて彼女の手の温もりを感じた。
さえちゃんが強引に私の手を引っ張ってくれたから、私は今先輩と仲良く話せるのだろう。
「あのときから……さえちゃん元気だったなあ」
「ん? なんか言った?」
「いやいやいやいや、別になんでもない。独り言」
「えー、逆に気になるし。教えてよ」
「うーん……いや、さえちゃんって元気だねって」
「えーそんなことないよ、元気に振舞ってるだけだって」
「それにさ……かっこいいよ……」
「え? ちょ、ちょっとゆきりん何言ってんの……恥ずかしいじゃん」
「AKB歌劇団のときのさえちゃん、超かっこよかったんだから」
「あー、あれね。あれは我ながらかっこよかったかな」
更新日:2011-04-14 14:53:31