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小説

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3月14日 スーパー3軒回る

食料も、買い足しておかないと心配だ。長時間待つのを覚悟で生協に行ってみた。
すでに長い列が出来ていたが、ウンザリする程の人数ではない。まだ朝7時半だもんなあ…果たして何時から販売が始まるのかも分からない。待っている最中、軽く動悸が起こる。
……いや。そんなこと気にしちゃいられない。長い時間待つことに慣れなきゃ、何も手に入らない。

約1時間半後。
「10人までです」
従業員の女性が交通整理をする。
10分という制限時間を設け、その間に店頭に並べられた商品を一人10点までの限定で買物するシステム。
青空市場のような感じで、店内には入れないようになっていた。

そこで得られたのは、バラのトイレットペーパー4個、2Lペットボトル飲料2本、ビスケット一袋、ポテトチップ一袋。
お腹の足しになる物が殆ど無い。
だめだ、もう一軒のスーパーに行ってみよう、
と、到着した途端にメマイがするような長蛇の列が目に飛び込んだ。
やっぱり、青空市場だ。店の中はどんな状態なんだろう。
……とりあえず並んでみよう。

60歳くらいの女性が話しかけてきた。
「どこに行っても品不足だね……」
「ほんと、そうですね。水が一番困ってしまって」
「やっぱり…? それと、ウチは孫の紙オムツが無くて…今日手に入るといいんだけど」
「買えるといいですね」

そんな会話でも、長い待ち時間のおしゃべりは本当に気が紛れてありがたい。行列に並ぶのが大の苦手な私は、誰かれ捕まえて話をしたい衝動にかられてしまう。
そのうち、私を含め5、6人の女性の和が出来た。

皆口を揃えて言うのは、
「ウチの市は、広報車がちっとも必要な情報を伝えてくれない、市長の声が全く聞こえない」ということ。
給水車が、いつどこに来るのか、どこで食料品等を買えるのか…。確かに、市からの情報はまだ一切入って来ない。今日みたいにスーパーに買物に来たときに、口コミで入手するしかない。
自分の足で探せっていう訳か。
そうだよね…みんな忙しいもんね…。

「ウチの両親、O市なんです…」
小学生のお子さん連れの若いお母さんが、ぽつりと話しかけてきた。
O市といえば、津波の被害が大きかった市だ。

「連絡が取れなくて……」
「そうでしたか……無事だといいですね……」

私は、それしか言えなかった。慰める言葉が見つからない。

更新日:2011-04-08 18:16:59

汗かきベソかき震災日記 ―東日本大震災―