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小説

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3月17日 バケツリレー

朝から、雪が降っていた。
父がジャンパーを着込み、バケツを持って庭と家の中をウロウロしている。何やってんだろ、と思ったら。

「雪、かき集めて風呂に溜める」
と言う。

あ。トイレ用水を稼ごうという魂胆ですね、旦那。
浴槽に溜めているトイレ用の水は、生活している中で一番消費量が多い。風呂場を覗き、水の量が減っていくのを見るたびにストレスになっていた。もうすぐ底をついてしまう。

父がバケツいっぱいに庭に降り積もった雪を入れ、それを私が風呂場まで運ぶ。これもバケツリレーって言うのだろうか。
庭をチェックすると、三か所の樋から水が落ちている。これも利用しない手はない。樋の口に洗面器やバケツをセットし、満杯になったら風呂場に運ぶ。
何往復しただろう。やがて浴槽は満杯になった。


午後2時過ぎ、私が仕事を請けている会社の業務担当のSさんから携帯に電話が来た。

「麻里さん、無事で良かったです! 本当に良かったです! 麻里さんだけ連絡が取れなくて皆心配していました。仕事なんていつでもいいですからね、復活したらまたご連絡ください!」

震災以来、携帯の充電が出来ず、ずっと会社と連絡が取れない状態だった。
Sさんは地図で私の家の場所を調べて海岸に近いことを知り、かなりショックを受けていたようだった。
心配をかけてしまったことと、仕事に穴を開けてしまったのが申し訳なかったが、会社の方達の気遣いが嬉しかった。


更新日:2011-04-12 15:00:09

汗かきベソかき震災日記 ―東日本大震災―