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小説

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3月16日 相変わらず、水の確保に奔走

昨日、給水所の一つに指定されているU浄水所に行った時、「明日も午前8時から給水します」と職員が言った。3リットル限定だけど、もし毎日もらえるなら有り難い。
それで、今日もU浄水所めざして小さな神社のある細い道を歩いていた。家からずっと上り坂で、さすがに息が上がる。

寒い朝だった。うす曇りの空は水色で、澄んだ空気の中、雪がちらちらと舞い落ちている。

ねえ、神様。
雪っていうのは、なにごとも無かったかのように、いろんなものを覆い隠してしまうんですね。


給水所近くに来ると、もう50人は並んでいた。軽く動悸がする。でも、待つことに慣れなきゃ何も手に入らない。

最後尾に並ぶと、前に並んでいたおじさんが話しかけてきた。
「まだ、給水始まんねぇんだよなぁ……」
「あれ、もう8時過ぎましたよね?」
「そうだねえ。…この前どこかのバァさんがね、でかいタライを持って来て、これに一杯入れてくれって職員に言ってたよ。『それはダメです』って怒られてたなあ、ハッ、ハッ」

こんな会話をしていてもホッとさせられる。
普段なら、他人に話しかけられるのは苦手だったと思う。いまは彼の絶え間ないおしゃべりがものすごくありがたい。

ところが、やっと給水の為に現れたはずの職員から告げられたのは、
「水が来ません。今日は給水できません」

……はぁ?
意味わかんないんですけど……

「嘘だろ」
「なら、早く言えよなッ」

職員に直接言ったわけではないが、引き返しながら誰もが語気が荒くなっている。

更新日:2011-04-08 18:18:43

汗かきベソかき震災日記 ―東日本大震災―