• 3 / 61 ページ

帝のこと

次に、これが一番で非常に問題だったのが、
私の幼なじみである『近藤 帝』が裏家業の人だったということだ。

裏家業?

一瞬、何言ってるんだこの女?と思われるかもしれないが、
それを帝から告白された時に、私も「何言ってるんだ?」と思った。




田舎で浮きまくっていた母の最初の日本人の友達が帝の母だった。
帝の母は語学に堪能で、外国語に飢えていた私の母は何かと理由をつけて
帝の家へ私を連れて遊びに行った。
お互いの母親たちが飽きもなくマシンガントークしてる間、
帝はよく私の面倒を見てくれた。


帝は私よりも6つ年上で、私と同じハーフだった。
黒髪を遺伝していたのでぱっと見は日本人なのだが、
目の色が薄緑色に近い茶色だった。
白く細い体なのに骨格がしっかりとして、足も大きく
田舎で靴を買うのも苦労していた。
そして何よりも頭が良かった。

そんな帝が私にとって『大好きなお兄ちゃん』になるのに時間はかからなかった。


私の母が英会話講師の仕事を始めてからは帝の家が学童の代わりだった。
帝が学校から帰ってくるのを待って、一緒におやつを食べたり、
宿題をみてもらったり、遊んだりした。

普通なら近所のやさしいお兄さんの心温まる思い出話でおわるのだが、
ここからが問題だ。



更新日:2011-03-28 00:24:03

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook