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対決!変態と私のこと

岸さんの家は思っていたよりも山の奥に建っていた。
ここに来た時に靴を履いていなかったので、
私は玄関にあったサンダルを拝借して駆け出していた。

山道をどんどんと下っていたら私の後ろから軽トラックが走って来た。

「お嬢ちゃん、乗って行くかい?」

サンダル姿の私を見て、不思議に思ったようで声をかけてきた。
普段なら軽くスルーするのだが、
今日ばかりは天の助け!と乗せてもらった。

「あ、いいですか?」

詳しい内容は伝えず、この場所に行きたいと
紙に書かれた住所をおじさんに見せた。

「ああ、ここなら近いから乗せて行ってあげるよ。」

そういって、車を走らせてくれた。

山道から、市街へと道が変わりしばらく走ると目的の場所についた。

「ここの道を入って行くとその場所だと思うよ。」

おじさんにお礼をいって、私はその道を進んだ。

少し歩くと小さなアパートが見えた。
住所の紙を確認すると、どうやらここのようだ。
アパートの横に駐車場があり、
覗いてみると見覚えのある車が停まっていた。

「あ、あのスモーク!」

一瞬、あの時の恐怖が戻って来たが、ぐっと堪えた。

「間違いない。ここだ。」さすが情報屋の情報だ。
ガンガンと鉄の階段を上がり、一番奥の部屋の前にやってきた。

『桐山』という表札が出ていた。
ドンドンと扉を叩き、反応を待った。
もう一度ドンドンと叩き、反応を待ったが無反応だった。
「くそっ」と思い、ドアノブを回してみるとドアが開いた。
私は覚悟を決めて中に入った。


この時の私は大介の言葉で感情的になり、
ひとまず変態に会わなければ!とそればかりだった。
なので、会ってからどうするのか全く考えていなかった。


部屋に入ってみると昼なのに真っ暗だった。
しょうがなく勝手に電気を付けてみると
予想に反してきれいな部屋だった。
きれいに掃除された部屋で、本棚の本の並びをみると
几帳面な性格なのが伺えた。
机にはパソコンがおいてあり、
反対側にはきれいに整えられたベッドがあった。

「ん?」

壁の一角に目をやるとおかしな位置にカーテンがかかっていた。

「何これ?」

おもいきりカーテンをはがしてみると想像を絶する光景だった。
私の写真が一面に貼ってあった。
中心には全身が映った写真があり、
その周りに色々な場所でとったであろう
私の写真が所狭しと貼ってあった。

「何これ・・・・・。気持ち悪い・・・・。」

私は絵も言われぬ脱力感に襲われた。

突然、ガチャンと鍵のしまる音がした。
振り返ると変態が立っていた。

更新日:2011-04-03 10:31:02

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