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エピローグ

「ガールハントじゃあ!!」

いつものようにあたるは女の子を求めて町を走り回り
それをラムが追い掛け回していた。

「ダーリン、待つっちゃ!!昨日あんなことがあったばかりなのに
よく平気で浮気ができるっちゃね!?」
「何言ってやがる!俺の存在は天使様が認めてくれたんだ。
つまり、俺がハーレム目指してガールハントをすることを神が認めたも同然!
そうこれはまさしく聖なる行いなのだ!!」
「そんなこと一言も言ってなかったっちゃ!!待てーーー!!!」

ラムは怒りの電撃をあたるに向かって放つ。
だが、兎のような跳躍力で軽やかにそれを交わしてあたるは突き進む。
そんなあたるを必死にラムは追いかけていくのだった。

「結局、あれは何だったのじゃ?」

サクラと錯乱坊が遠目に騒がしい二人を眺めていた。
サクラの神社にはコタツネコや因幡、友引高校のメンバーが勢揃いして
神社のイベントの準備をしていた。

「天使の気まぐれ・・・じゃないですか。」

何故か校長先生がお茶をすすりながら言った。

「校長!?」
「私は友引高校の校長です。こたちゃんから大体のことは聞きました。
大変だったようですね・・・」
「そうですね・・・こうして事無きを得てほっとしますなぁ。」

話をする校長の隣でコタツネコが鍋を沸かし牛乳瓶を暖めていた。
そのビンには「猫印の甘いミルク」と書かれていた。
十分に温まるとそのうちの一本を校長に差し出す。

「おや、ホットミルクですか、温かくて良いですね。
でも、聞いたことがない銘柄ですね。」
「・・・あまあま」
「あの天使の娘に貰ったんですか?
これはこれは甘い香りがして良いミルクですね。
さすがは天使の御用達・・・うむ、実に美味しい。」

校長はコタツネコと共に甘いホットミルクを暖かな表情で飲んだ。
すでにミルクを飲み終わったテンがコタツネコに寄りかかって眠っていた。
その光景に周りの皆もほっとする。

「じゃが、あんなことがあってもあやつらは変わらんのう・・・」

錯乱坊が苦悩の表情で言うと因幡が答えた。

「良いじゃないですか。その方が・・・ねえしのぶさん。」
「そうね、因幡さんが血相をかいて飛んできたときは何事かと思ったけど、
あたる君もラムも無事でよかったわ。」

しのぶは因幡の手を握り締めて言った。
最初は因幡の行動の意味がわからなかったけど必死に助けに来ようとしていた
ということが分かってしのぶはとても嬉しかった。
すると竜之介がぽつりと言った。

「天使ってのがどんなのか1度見てみたかったけどな。」
「アホ!ヘタに近付いて殺されたらどないすんねん!!
相手は理不尽なくらい強い上にドSやったんやろ!?
・・・でも、ラムちゃん、無事で良かったわ・・・」

ランが少し安堵したような顔で言った。
その直後、顔を赤くして一人で叫んだ。

「ラムに復讐するのはこのわしやからな!勘違いすんなよ!!」

あたるとラムを中心にどたばたを繰り返す。
そんな当たり前な光景がとても愛おしく感じられた。

「フフフ、今のこの形が一番幸せじゃな。」

皆は追いかけっこをする二人を愛おしそうに見つめていた。

「待てー!!ダーリン!!」
「ええい!!良い加減に俺のガールハントという偉業を認めんか!!」
「ずぅえーーったい!!認めないっちゃ!!」

あたるとラムはこうして二人の鬼ごっこを続けていくのだった。   

終わり

更新日:2011-04-11 23:21:18

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ラムとあたると小さな天使  (二次創作・うる星)