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三人称と神の視点

 さて、そろそろ皆さんにもアホの誤魔化し方が見えて来た頃でしょうか。これまでに語った基礎に注意しておけば恐らく相当の誤魔化しが利くかと思います。では最後に、神の視点についての注意をしておきましょう。まぁ、ここまで気にしながら素人の小説を読む暇人なんてそうそう居ないと思いますが、一応ね。

 小説の形式には大まかに一人称小説と三人称小説があることはご存知でしょうか? 要するに主人公の視点から内容を語っているか、その場に居ない第三者が語り部をしているかって話です。例えば、さっきのキモい文章は主人公万代が自分の視点から「俺は……」と語っていたので一人称小説。これが「万代は……」と実況の様に語るのが三人称小説です。いや、実況というよりは背後霊ですね。主人公に取り憑いた背後霊が、逐一読者に宿主の言動や心理を説明していると思ってください。
そしてここで重要になるのが、あくまで主人公の背後霊である語り部に分かるのは、主人公の事だけだという事です。だから主人公が今何を考えているかは分かるけど、他人に関しては主人公が目で見ている範囲の事しか分からない。それが三人称小説の制約という訳です。それがね、たまにあるんですよ。三人称のはずなのに、いきなり相手が考えている事について語りだす神業的な背後霊が。当然普通の背後霊にはそんな事出来やしない。そんな事をするのは神様くらいの物でしょう。だからこれはすでに違うもの、神の視点に部類される物になってしまうんです。

 つまり何が言いたいかと聞かれれば、複数人の心理描写は一度に書くなって事です。視点を特定の人物に絞ったら、その人物が得られる情報以外は書かない。これが鉄則です。

更新日:2011-03-09 07:57:38

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