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転入生
高校2年の5月半ば。
あなたは突然私の前に現れた。
「今日は転入生を紹介するよぉ~」
担任。 石倉直美ことなっちゃんは教室に入るなりそう告げた。
「なっちゃん、それって男ぉ? 女ぁ?」
教室のどこかからそんな声が聞こえる。
「男ぉ。 女子諸君おめでとう。 かなりのイケメン君だよ」
なっちゃんはそう言って、面白そうに口の端をもち上げる。
なっちゃんの発言で、女子の騒ぐ声があちらこちらから聞こえる。
私は教室の窓側の一番後ろ。
いわば特等席でただ雲の流れるのを見つめていた。
それといって男子に興味があるわけでもなかったから。
そう友達に言ったら
「和香はどっか変わってるよ」
と笑いながら言われた覚えがある。
こっちからすれば、男子がどうのと騒いでるみんなのほうがおかしくてたまらなかった。
今でもそうだ。
「かーずかっ」
不意に声をかけられ、前を向けば友人の四條沙由が私のほうを向いて笑っていた。
「何?」
「いやぁ どんなタイプの男子だと思う?」
きた。
「さぁ・・・」
私は短くそう答える。
「和香ならそう言うと思ったよ」
沙由は何が面白いのか、ずっとニコニコしていて。
「楽しみだねぇ」
そういって前に向き直った。
私は再び窓のほうに目をやる。
誰にも気づかれないようにただ小さく息を漏らした。
あなたは突然私の前に現れた。
「今日は転入生を紹介するよぉ~」
担任。 石倉直美ことなっちゃんは教室に入るなりそう告げた。
「なっちゃん、それって男ぉ? 女ぁ?」
教室のどこかからそんな声が聞こえる。
「男ぉ。 女子諸君おめでとう。 かなりのイケメン君だよ」
なっちゃんはそう言って、面白そうに口の端をもち上げる。
なっちゃんの発言で、女子の騒ぐ声があちらこちらから聞こえる。
私は教室の窓側の一番後ろ。
いわば特等席でただ雲の流れるのを見つめていた。
それといって男子に興味があるわけでもなかったから。
そう友達に言ったら
「和香はどっか変わってるよ」
と笑いながら言われた覚えがある。
こっちからすれば、男子がどうのと騒いでるみんなのほうがおかしくてたまらなかった。
今でもそうだ。
「かーずかっ」
不意に声をかけられ、前を向けば友人の四條沙由が私のほうを向いて笑っていた。
「何?」
「いやぁ どんなタイプの男子だと思う?」
きた。
「さぁ・・・」
私は短くそう答える。
「和香ならそう言うと思ったよ」
沙由は何が面白いのか、ずっとニコニコしていて。
「楽しみだねぇ」
そういって前に向き直った。
私は再び窓のほうに目をやる。
誰にも気づかれないようにただ小さく息を漏らした。
更新日:2011-03-03 23:06:37