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自分の頭の中を整理しながらそう思い
早坂さんも私を少し見ては
またいろいろ思っていたようだった。

でもそれはお互い言葉にならず
ただただ沈黙があっただけだった。

『私…それじゃ帰ります』

そう言うと

「本当に、ごめんな?」

早坂さんは私を見て
力なく微笑んだ。

その言葉に、私は首を横に振った。

そして早坂さんに店の外まで送ってもらってしまった。


別れる間際に

「梓ちゃんにとって敦史は上司、祐介はお兄ちゃん…だよな。
でもそれが崩れてしまったら
多分、知りたくなくても知る事になるんだろうな」

と小さな声で独り言を残して店へ戻って行った。

更新日:2011-02-21 05:38:08

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