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初めての感覚

それまで静かだったフロアで
突然入口の方でバタバタッと音がした。

その音は私達のいる応接室に近付いたと思ったら
パーテーションの上からひょっこり男の人が顔を覗かせた。

汗を手で拭きながら

「悪い!すっかり忘れてた!!」

と笑っている。

金森さんは灰皿に思いっきりタバコを押し付けて火を消し

「悪い!じゃないだろ。
お前忘れるとかいい度胸してるよな…
こっちは徹夜で仕事上げてきたのに」

と男性を思いっきり睨んだ。

髪を短めに切っていて
いかにもさわやかサラリーマンの典型みたいな人は
私達の前に座った。

「こっちだってなかなか忙しいんだよ。
ったくお前さんはどうしていつもそうかねぇ?
そんなに怒ってばっかりだと体に悪いよ?
あ、平野さ~~ん!アイスコーヒーちょうだい!!」

大きな声で叫ぶとタバコを出して吸い始めた。

更新日:2011-09-09 01:18:09

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