• 作品を探す:

小説

携帯でもPCでも書ける!

  • 10 / 16 ページ

彼女は僕のもの~独り占め


天からのお叱りか、2人の幸せにヤキモチを妬く
ように、彼が風邪を引いてしまう。
いつものように、彼女からの連絡が入る。
咳と鼻水の音を聞こえないように、話す彼。
ちょっとした気遣い、心配させたくない気持ちだ。
でもそれは、直ぐに出てしまう。
彼女が空かさず、気を使う。
当然の心配だ。

そんな彼女もそれとなく風邪気味ではあったが、
それ以上の彼の枯れた声。。
どうにもやり過ごすことなど出来ない彼女。
呆気ない電話を切らされる。
なにも言えず、熱の出てる頭では、考える余地もない
どうしようもない体の動かない彼。

いつもの楽しい会話も出来ず、いつもは長い電話を
するのにも、この時ばかりは、どうしようもない。
切られた電話でうろたえる訳でもなく、冷静に布団に
もぐる。。
しばらくして、また電話が鳴る
1度切ってから1時間位だったろうか?
『今、家の前』と彼女が言う。
ん?モウロウとしてる彼の頭は夢の中。
『冗談でしょう』が頭を過ぎる。

日も暮れかかる時間に、来てくれたのだ。
家の前の公衆電話からだった。。
彼女の気持ちそのままに、動かなかった体も動く
玄関を開けて彼女を招き入れる。。
その手には、愛用の薬と、栄養ドリンク、ちょっとした
食べ物が入っていた。

笑顔で彼を見つめる瞳が、まんまるく光ってる。
つぶらな瞳に心を奪われる。
気遣う彼女の声も、時計の刻む音以上に響いてくる。
『ありがとう』と涙交じりの声が出る。
そんな彼女の口も声も、瞳も笑顔も独り占めだ。
熱が熱を呼び、心地の良い空間が部屋を明るくする。
寒気も暖炉に変わり、彼の顔にも笑顔が戻る。
天のお叱り、どこえやら・・・・。

更新日:2009-01-25 19:16:55