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ぼくは形を変えていた。
というよりも、いままでぼくがぼくだと思っていた<ひと>の形ではなくなっていたんだ。
だけど、ぼくは続いていたよ。ぼくはぼくのお腹のドアを開けたけど、そこは終わりではなかった。でも、その部屋はやっぱり真っ白で、いままでとなにかが変わるというものではなかった。
「ここも変わらないな。いや、ぼくの形は変わってしまったけれど」
ぼくはそう言いながら真っ白な部屋をひたすら進んだ。
まるで空中を泳いでいるような気分だった。こうして進んでいけば、きっとだれかに会うにちがいないだろうと思っていたんだ。そして、ぼくに会ったら、そのひとはぼくを見てどう思うのかなって、少しどきどきしていたよ。
そしてしばららくして、ぼくはようやく<ひと>に出会ったんだ。それは、前のぼくと同じ形をしていた。
「やあ」
ぼくはなんて声をかけていいのかわからず、そのひとことで、口をつぐんでしまった。
「やあ……って、きみはどこにいるの?」
そのひとは、ぼくの声を聞いてとてもおどろいているようだった。ぼくは目の前で不安そうにきょろきょろとしている彼を見て、なんだかドアになった気分だった。
「もしかして、きみにはぼくのすがたが見えないの?」
ぼくはおそるおそる、そう聞いてみた。
「見えないよ。きみどころか、ここにはなにもないじゃないか」
ぼくは思わず「ようこそ」って言いそうになってしまった。
だって安心したんだよ。なにしろ、ぼくには仲間がいたってことがわかったんだもの。でも、いまのぼくは彼とはちがう形をしている……それでもやっぱり、ぼくはひとりじゃなかったってことがうれしかったんだ。
ぼくはドアがやったことと同じこと、つまり、彼にぼくのすがたが見えるようにする技を知らなかった。だから、どうやってぼくを信頼してもらおうか、考えていたんだ。
そんなときだった。
とつぜん、もうひとり、ぼくの目の前に<ひと>が現れたんだ。
ふたりはまったく同じ顔、同じからだをしていたものだから、ぼくはあぜんとして見比べてしまったよ。その間にも、ひとり、またひとりと、彼らは次々とぼくの目の前に現れたんだ。
顔はそっくりだけど、みんな表情や態度がちがう。おびえているもの、怒っているもの、目を輝かせているもの……
だけどみんな、お互いが見えていないようだった。
というよりも、いままでぼくがぼくだと思っていた<ひと>の形ではなくなっていたんだ。
だけど、ぼくは続いていたよ。ぼくはぼくのお腹のドアを開けたけど、そこは終わりではなかった。でも、その部屋はやっぱり真っ白で、いままでとなにかが変わるというものではなかった。
「ここも変わらないな。いや、ぼくの形は変わってしまったけれど」
ぼくはそう言いながら真っ白な部屋をひたすら進んだ。
まるで空中を泳いでいるような気分だった。こうして進んでいけば、きっとだれかに会うにちがいないだろうと思っていたんだ。そして、ぼくに会ったら、そのひとはぼくを見てどう思うのかなって、少しどきどきしていたよ。
そしてしばららくして、ぼくはようやく<ひと>に出会ったんだ。それは、前のぼくと同じ形をしていた。
「やあ」
ぼくはなんて声をかけていいのかわからず、そのひとことで、口をつぐんでしまった。
「やあ……って、きみはどこにいるの?」
そのひとは、ぼくの声を聞いてとてもおどろいているようだった。ぼくは目の前で不安そうにきょろきょろとしている彼を見て、なんだかドアになった気分だった。
「もしかして、きみにはぼくのすがたが見えないの?」
ぼくはおそるおそる、そう聞いてみた。
「見えないよ。きみどころか、ここにはなにもないじゃないか」
ぼくは思わず「ようこそ」って言いそうになってしまった。
だって安心したんだよ。なにしろ、ぼくには仲間がいたってことがわかったんだもの。でも、いまのぼくは彼とはちがう形をしている……それでもやっぱり、ぼくはひとりじゃなかったってことがうれしかったんだ。
ぼくはドアがやったことと同じこと、つまり、彼にぼくのすがたが見えるようにする技を知らなかった。だから、どうやってぼくを信頼してもらおうか、考えていたんだ。
そんなときだった。
とつぜん、もうひとり、ぼくの目の前に<ひと>が現れたんだ。
ふたりはまったく同じ顔、同じからだをしていたものだから、ぼくはあぜんとして見比べてしまったよ。その間にも、ひとり、またひとりと、彼らは次々とぼくの目の前に現れたんだ。
顔はそっくりだけど、みんな表情や態度がちがう。おびえているもの、怒っているもの、目を輝かせているもの……
だけどみんな、お互いが見えていないようだった。
更新日:2009-01-01 14:40:09