官能小説

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「台風の進路が変わったみたいだ。明日には天気が崩れるぞ」
 一日の撮影を終えてサエの心尽くしの夕食を食べ、そのまま居間のソファに移動して宴会に雪崩れ込もうとしていた面々は、佐竹の言葉に「エッ!」と言って慌てると、焦ったようにそちらを見た。先にソファに移動してラジオの天気予報に耳を傾けていた佐竹はイヤホンを外すと、苦い顔で部員たちを見る。その視線を受けて細川が尋ねた。
「早いですね。浜辺のシーンはだいたい撮り終えましたけど、ラストが残ってるんじゃありませんか?」
 佐竹は「ああ」と答えると、ガリガリと頭を掻く。
「明日の朝に撮ろうと思ってたんだけどさー」
 映画のラストは日の出のシーンだ。もっと早くに撮ろうと思っていたのだが、薄雲がかかっていたり寝過ごしたりしてなかなか撮れなかったのだ。
「仕方ねえ。濡れ場シーンから撮っちまうか」
 佐竹の言葉に、途端にサエが顔をしかめる。
「濡れ場なんて言わないでよ、ヤラシイなあ」
 サエのいかにもイヤそうな顔と言葉に、佐竹は片眉をしかめて「ああ?」と返した。
「なに言ってんだよ。濡れ場は濡れ場だろ」
 そしてそう言うと、不興げなサエは無視してソファに並んで座っている須崎と佐保に視線を向ける。
「ってことで、暴風雨になったら二人のベッドシーン撮るから準備よろしくなー」
 ベッドシーンは嵐の夜の設定だったので、この台風は撮影班にとっては恵みの雨である。これで外からホースでジャンジャン水をかける手間が省ける。二人の『準備』とは、もちろん剃毛のことだ。ベッドシーンではどうしても全裸になるので、主に股間の毛が映り込まないようにするのだ。とは言え、仰向けに横たわる佐保の上に須崎が覆いかぶさるような形になるので佐保はまず心配無いし、万が一の時は細川が画像処理で上手く誤魔化すことになっている。
「はい、おつまみ出来ましたよ~」
 そこへ、サエと入れ替わりにキッチンに入った丸山が大皿を持ってやって来る。皿の上にはクラッカーが所狭しと並べられ、旨そうなチーズやサラミがその上を彩っていた。
「お、旨そうだな」
 それを見て、佐竹は思わず笑みを浮かべて手を伸ばす。
「でしょ? サエさんが作ったんですよ」
 言われた言葉に視線を向けると、食卓の上を拭いていたサエが嬉しそうに笑った。



 天気予報は的中し、二日後には暴風雨になった。
「また豪勢に降ってんな、こりゃ」
 居間のソファにぼんやり座って寝惚け眼で窓の外を見ていると、隣のソファで寝ていた細川が目を覚ます。同じように窓の外を見ると、テーブルの上に置いてあった眼鏡に手を伸ばした。
「予定通りですね。嵐の夜のシーンは見せ場ですから、これで俄然雰囲気が盛り上がりますよ」
「だな」
 今日の撮影は昼と夜に分かれる。昼の間に少女だけのシーンを撮り、夜にベッドシーンを撮る予定になっていた。そこへ、ダイニングの方から賑やかな声が聞こえて来る。立って行ってヒョイと中を覗くと既にテーブルの上には朝食の用意が出来ていて、焼いた卵のイイ匂いがした。
「お、今日はオープンエッグか」
 腹をボリボリ掻きながら皿の上を覗き込んで言うと、サエがすぐ側まで寄って来て鼻の頭に皺を寄せる。
「昨日もリビングで寝たの?」
 呆れたようなその顔に佐竹はフンと鼻を鳴らすと、ツンと上向いた可愛い鼻の頭をギュッと摘まんだ。
「朝からカワイイ顔してんじゃねーよ」
 途端にサエがムゥと口を尖らせる。その頬が見る見る赤くなるのを見て、佐竹の中の何かがムズムズした。今までにも度々感じたその『ムズムズ』が何なのかを、しかし佐竹はあえて考えないようにしている。
「拓夢ちゃんもおはよ~~~」
 わざと猫撫で声で隣にいる佐保に挨拶すると、途端に今にも蕩けそうだったサエの顔が一瞬で怒りのそれに変わった。
「いいもん! 僕にはモトくんがいるから!」
 須崎はサエのお気に入りだ。サエは在学中だけでなく卒業してからも連絡を取り合っていたらしく、須崎が二年の時に親と仲違いを起こして仕送りを打ち切られると、物凄い速さで自分の家に引っ張り込んだ。サエの父親が芸術に理解のある人で書生や絵描きの卵をゴロゴロ家で養っていたのでサエにとっては野良猫が一匹増える程度の気安さだったのかもしれないが、しかし佐竹にとっては心中穏やかではなかった。

更新日:2012-01-07 23:39:16

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