官能小説

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 電車を乗り継ぎ、ようやく目的の駅に着いた時には既に夜になっていた。
 この時間ではみんな飲み始めてしまっただろうかと思いながら、佐竹はサエに電話する。すると、ワンコールで「遅い!」という声が返って来た。
「いつまで待たせる気さ! もう夕ご飯食べちゃったからね!」
 たぶんずっと自分からの電話を待っていたのであろうサエの怒ったような声音に、思わず携帯を耳から遠ざけた佐竹はハハハと笑う。
「悪かったよ」
 佐竹は遅くなったことを謝ると、須崎を迎えに来させるように言った。
「僕が行く!」
 途端にサエが勢い込んで答える。その向こうで、須崎の声が「俺が行きます」と答えるのが聞こえた。
「俺、呑んでませんし」
 どうやら須崎は迎えに行くことを想定してまだ飲まずにいてくれたらしい。須崎の言葉に即座に他のメンバーが賛成するのが聞こえ、怒ったらしいサエを須崎が宥める声がそれに続く。
「ついでにコンビニでアイスでも買って来ますよ。サエさんラムレーズン好きでしたよね」
 佐竹はその遣り取りを聞きながら、サエのふくれっ面を想像して思わず笑う。そして、じゃあ頼むぞ、と言って迎えを頼むと、返事を待たずに電話を切った。


「遅かったですね、部長。サエさん、ずっと待ってたんですよ」
 迎えの車に乗り込むと、さっそく須崎が車を出しながら言う。
「夕飯はサエが作ったのか?」
 気になっていたことを尋ねると、須崎が「ええ」と答えて笑った。
「拡夢と一緒に格闘してました」
 車は駅前を離れて街中に出る。駅前の商店街は車も多く人通りもあったが、少し離れるとすぐに閑散として信号すら無くなった。この先に行くとコンビニもありませんから、と言って須崎が小さなコンビニエンスストアの駐車場に車を乗り入れる。佐竹は一緒に降りると、須崎の後ろに付いて店内に入った。
「部長は何がいいですか?」
 須崎が買い物カゴ片手にアイスの入った冷蔵ケースを覗き込みながら言う。
「適当でいいだろ。サエはラムレーズンがありゃ文句言わねーし」
 拡夢ちゃんは何が好きなんだ、と反対に尋ねた佐竹は、カゴの中に既にオレンジシャーベットが入っているのを見て笑う。どうやらこの二人は結構上手くいってるらしい。
「可愛くて仕方ねーだろ」
 ついついやっかみ半分でからかうように言うと、他のメンバーの分のアイスもポイポイとカゴに放り込みながら、須崎が澄ました顔で「そうですね」と答える。
「部長だって可愛くて仕方ないんじゃないですか」
 反対に問われた佐竹は思わずムゥと顔をしかめると、レジへと向かう須崎の背中に小さく溜息をついた。
「顔だけならな……」

 顔だけならサエはどんな女よりも美人だ。言っては悪いが佐保よりも可愛いと思う。胸は無いが身体のラインは色っぽいし、手の平が吸いつくような滑らかな肌も申し分ない。一度しか抱いたことはないが、セックスも相手が男だということを忘れそうなほど気持ち良かった。性格も元気で明るくて、ちょっとツンデレなところはあるが、そこがまた大人しいだけのお人形さんと違ってイイと思う。では、何が問題かと言うと……。
「部長、サエさんと付き合ってるんですよね」
 買い物を済ませて再び車に乗り込むと、須崎がシートベルトを締めながら尋ねる。確認するように問われて、佐竹は思わず視線を窓外に向けた。車はすぐに走り出し、県道を左に折れて海岸と並行して走る一本道に入る。店舗も民家も無い田舎道にはもちろん街灯なども無く、行き交う車もないのでヘッドライトだけが唯一の光源だった。右の方角には海がある筈だが、防風樹林が黒く長く横たわっているので車からは見えない。佐竹はその真っ黒な影に視線を向けたまま、いくぶん声を落として答えた。
「そりゃあ昔の話だ……今は特に付き合ってねえよ」
 それに、と胸の内で続ける。昔だって付き合っていたのかと問われれば答えに窮するような仲だったのだ。常に一緒にいただけで、そして一度だけ誘われて抱いた、今となってはそれだけの関係のように思えて佐竹は思わず小さく息をつく。すると、佐竹の言葉を受けて、須崎が暫し押し黙ってから再び口を開いた。
「いい加減年貢を納めたらどうですか、部長。往生際が悪いですよ」
 須崎の言葉に佐竹はフンと鼻で笑って、何言ってんだ、と返す。
「そんなに自信が無いのか、色男。お前は俺に拡夢ちゃんを盗られたくないだけだろ」
 からかい半分の言葉に、須崎が「それもありますけどね」と答える。
「見てられないんですよ。俺にとってはサエさんも大切な人ですからね。出来れば泣かせたくないし、幸せになって欲しい」
 須崎の言葉に、佐竹は窓外に視線を向けたまま暫しジッと押し黙る。ややあって、小さく溜息をついてから尋ねた。
「本当に幸せだと思うか? 俺みたいな男と一緒にいてさ……」

更新日:2011-11-19 05:52:14

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