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小説

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―――― 6代目の神主

“もしかして私は、彼女が戻ってくるまでずっと、ここで見張り役を任されていたのかもしれないね”。

 彼女が弱々しく微笑んだのを、今一度、何気なく思い出した。

 彼女はやはり霊で、倉浪様が目を覚まさないのは、6代目の神主が来ないから、なんて……。

 あれからもう20年も経っている。人の死は、突然だし、理由も単純だ。考えたくはないけど、6代目の神主さんも既にこの世にはいないかもしれない……。
 唯一倉浪様を目覚めさせることが出来るのが、6代目の神主さんだけだとしたら、私にできることなんて、あるのだろうか?

「おっはようー!!」

 そういって私の肩を叩いたのは、愛だ。
 彼女の活気のある声は、一瞬にして私のモヤモヤした内心を払い飛ばした。

「お、おはよう!」

 特に約束しているわけではないが、朝、正門前でお互いを見かけたときは、たまにこうして少しでも会話をするようになった。彼女に対して敬語を使わないことにもだんだん慣れたし、お互い呼び捨てにすることになったし、彼女もそっちの方が気が楽だと言ってくれたのでこの上ない幸せだ。

 と、ちょうどその時だった。

 時間が迫り、人が疎らになった校門の隅で誰かと話している、制服姿のあいつを見かけたのは。

 げっ、朝から嫌な人見ちゃったな、と何気なく素通りするつもりだったのだが。

 ――――おっと……? 待てよ……?

 
 神谷稜が話していた相手は、というか話しかけられていた相手は、如何にも女の子らしい雰囲気を帯びた、可愛らしい子だったのだ。

 しかも……。
 顔を桃色に染めている。

 まさかこれは――――。

更新日:2012-01-30 22:48:53