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小説

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―――― 時を越えて

「ったく、なにやってんの、あいつら」

「もうしょうがないからこの四人で始めちゃう? きっとあの三人のことだから、今頃寝てるんじゃない?」

 足下の砂礫を蹴りながらなぜか私を睨んでくる真美ちゃんに、帆前さんが諦めの溜息を吐いた。

 私も愛も、飛び入り参加の分際でなにか言える立場ではない。二人のやりとりを無言で眺めながら、ただひたすら笑顔を取り繕う。

 零時半を少し過ぎたところで、私たちは来そうにない遅刻者を待つのをやめ、時恩神社へと向かい始めた。

 あの日を界に、神谷稜の姿をぱったりと見なくなった。夏休みも始まり、学校でばったり会うことなんてなくなったし、元々神社でしか顔を見ることがなかったのだから、神社という唯一の接点が切れれば私たちは本当になんのつながりもない他人だ。
 そう考えてみると、今までそんなか細い縁がよく切れなかったな、と驚きを通り越して感心する。

 ……っていうか……。

「っていうかごめん、それ、手に持ってるビニール袋に入ってんの、花火だよね?」

「え、うん」

 え、うん、ってそんな当然のように……。
 
 なに、そんなに花火がやりたいの!? 花火そんなに重要だったりするの!? そんなもんエベレストの頂点でやってこいよ! 火たぶんつかないけど!

「そう、だよね。やっぱ良いよね、花火」

 顔を引き攣らせながら、心とは全く別のことをいう。

 そして私たち4人は、速度を落とすことなく、とうとう時恩神社の中へと入っていった――。

更新日:2012-01-30 22:49:31