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旅の宿
「初めてだね、母さんとこんな風に出掛けるのは?」
「そうね、子供の頃は、お父さんと3人で良く出掛けたものだけど、彼方が大人になってからは始めてかもしれないわね。」
正幸が運転する車の助手席に座り、喜美子は群馬の湯を目指していた。
途中アチコチの観光をしながら、その日泊る予定にしていた宿に着いたのは、夜の17時前だった。
家に居るのと、旅館の一室とでは、それぞれが受ける雰囲気も、勝手も違う。
「食事の前に風呂に行かない?」
正幸は喜美子の前で、宿の浴衣に着替え始めた。
喜美子は、見るとは無しに、息子の着替えを目の当たりにしたのである。
息子を初めて男として見ている自分に、喜美子はその時初めて気が付いた。
同じ様に喜美子自身も、浴衣に着替える姿を、息子に盗まれている事も知った。
外を見ている振りをしながら、喜代子が背中を見せて着替える姿を、ソット盗み見していたのも。
その時点で母と息子は、お互いの知らない処で、それぞれを男と女として認め合っていたのである。
だが、それを口にする事はまだ二人には出来なかった。
男女別の風呂場で、それぞれが別々に入浴を済ませ、夕食の時間となった。
夕食会場は部屋とは別の場所に用意されていた。
喜美子のお酌で、正幸は少量のお酒を口にした。
「如何、たまには母さんも少し飲んでみる?」
喜美子は旅先と言うも有り、家事をする訳でもない。
少しくらいなら、旅の開放感を味わう意味で良いかもしれないと思い、正幸の杯を受けた。
続け様に喜代子は盃を開けると、ホンノリと頬を染めた。
「もう少しどう?」
正幸がさらに勧めたが、
「もう十分・・、これ以上飲んだら、母さん酔っぱらっちゃうわ。」
喜美子の酔った姿を、正幸は初めて見た様に思った。
「そろそろ部屋に戻ろうか?」
喜美子の酔った姿を見て、正幸はそう判断した。
「そうね・・、ちょっと酔っちゃったかな?」
喜美子は正幸に身体を預けると、二人は部屋に戻る様にした。
「そうね、子供の頃は、お父さんと3人で良く出掛けたものだけど、彼方が大人になってからは始めてかもしれないわね。」
正幸が運転する車の助手席に座り、喜美子は群馬の湯を目指していた。
途中アチコチの観光をしながら、その日泊る予定にしていた宿に着いたのは、夜の17時前だった。
家に居るのと、旅館の一室とでは、それぞれが受ける雰囲気も、勝手も違う。
「食事の前に風呂に行かない?」
正幸は喜美子の前で、宿の浴衣に着替え始めた。
喜美子は、見るとは無しに、息子の着替えを目の当たりにしたのである。
息子を初めて男として見ている自分に、喜美子はその時初めて気が付いた。
同じ様に喜美子自身も、浴衣に着替える姿を、息子に盗まれている事も知った。
外を見ている振りをしながら、喜代子が背中を見せて着替える姿を、ソット盗み見していたのも。
その時点で母と息子は、お互いの知らない処で、それぞれを男と女として認め合っていたのである。
だが、それを口にする事はまだ二人には出来なかった。
男女別の風呂場で、それぞれが別々に入浴を済ませ、夕食の時間となった。
夕食会場は部屋とは別の場所に用意されていた。
喜美子のお酌で、正幸は少量のお酒を口にした。
「如何、たまには母さんも少し飲んでみる?」
喜美子は旅先と言うも有り、家事をする訳でもない。
少しくらいなら、旅の開放感を味わう意味で良いかもしれないと思い、正幸の杯を受けた。
続け様に喜代子は盃を開けると、ホンノリと頬を染めた。
「もう少しどう?」
正幸がさらに勧めたが、
「もう十分・・、これ以上飲んだら、母さん酔っぱらっちゃうわ。」
喜美子の酔った姿を、正幸は初めて見た様に思った。
「そろそろ部屋に戻ろうか?」
喜美子の酔った姿を見て、正幸はそう判断した。
「そうね・・、ちょっと酔っちゃったかな?」
喜美子は正幸に身体を預けると、二人は部屋に戻る様にした。
更新日:2010-12-07 19:26:48