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第八章 奇跡 (前編)

何時に、来るべき時が来た。


ヒロヒデにとって、ミリアは、最初の宿敵と成った。


命を救って貰った相手と、まさか、敵対するとは、想定外だった。


「ミリア。何故なんだ!?
君は、俺にとって、命の恩人だ!
なのに、何故、ジオット側に、君はいるんだ!?」


「甘いな、ヒロヒデ!
そんな事だから、二度も命を落とす嵌めに成るんだよ!」


ミリアは、非情に応える。


「君とは、戦いたく無い!
どうしても、君と、戦わなければ成らないのか!?」


「問答無用だと言ったろ、ヒロヒデ!
覚悟しろ!」


無情にも、ミリアは容赦無く攻撃して来る。


「くっ、やむを得えん!
遣るしかない!」


ヒロヒデは、悲しみと苦しみを振り払い、雄叫びを上げて、ミリアと戦う。


アルシオーネMkⅡのパワーは、ミリアのスプリット・ガンダムを越えて居た。


『強く成ったわね、ヒロヒデ。
あの頃のあなたとは、違うわ。
貴方は、私が愛した男よ!
あなたの実兄ノリノブよりもね。』


戦闘の中、戯れ逢った、過去のヒロヒデとの事を思い出しながら戦うミリア。


知ってか、知らずか、ヒロヒデもまた、自分自身に問い掛けながら、戦って居た。


『何故だ、何故なんだ、ミリア〜!』


「これで、おしまいだ!
ヒロヒデ!」


ミリアと最後の決着が付こうとして居た。


相打つと言いたい所だが、ヒロヒデの放ったバスター・カノンの閃光が、ミリアに直撃した。


「あっ、ミリア!」


彼女の顔が最後に見えた。


「強く成ったね。ヒロヒデ。
あなたの事、忘れない!
大好きだったんだから!!!」


「ミリア〜〜!」


残酷にも、爆発する寸前、ミリアの最後の言葉だった。


そして、ミリアもろとも、スプリット・ガンダムは、爆発して朽ち果てた。


悲しみを抑え切れないヒロヒデは、全身を震わせ、弾きれんばかりの雄叫びを上げ、フライング・アーマーに変形したアルシオーネMkⅡで、旗艦に帰投した。


そして、戦況も、過激さを増す。


リョウも、自ら開発したアルシオーネMkⅠzeroⅡの整備に万全を尽くして居た。


リョウが搭乗して居たグランダムは、その後、ジャッキー・テルに渡り、ジャッキー・テルが搭乗して居たレガシィは、他の者たちに渡った。


ジャッキー・テルも、メカニックマンからパイロット専属に昇進する事に成った。


戦場は、益々、戦々恐々として行った。


リョウはアルシオーネMkⅠzeroⅡで、ヒロヒデはアルシオーネMARKⅡで、ジャッキー・テルはグランダムで出撃した。


戦況は、消して有利という状況では無い。


しかし、此処で勝利を治めなければ、この銀河系形成全体が、ジオット銀河系の意のままに成ってしまう。


どんな事をしても勝利を治めなければ成らない!


そして、最終対決と成るノリノブとリョウ。


シャドー・ゼータに搭乗した、ラジャー・ブライは、複数の部下を率いて現れる。


敵も、プロトタイプを量産化して、総勢をあげて出撃して来た。


ついに、敵は、巨大な要塞まで出現する。


ヒロヒデは、ミヤマの艦首からフル装備したアルシオーネMkⅡで出撃した。


リョウは、アルシオーネMkⅠzeroⅡで出撃、ジャッキー・テルは、グランダムで出撃した。


もちろん、バイファム銀河系も総勢で迎え撃つ。


リョウは、戦闘の中で、ラジャー・ブライと出会う。


「アルシオーネ!?
いや、まさか!?
新型か?!
もしや、お前は、リョウか!?」


驚いたのは、リョウも一緒だった。


「何?!
貴様、ノリノブ!?
裏切り者のラジャー・ブライか!」


この二人にとって、最期の因縁の対決でも在る。


さすがに、シャドー・ゼータは、リョウのアルシオーネMkⅠzeroⅡよりパワーが在り、機動性能も良い。


「裏切り者よ!
よくぞ、此処に、顔を出す事が出来たな!」


「抜かせ!
リョウよ!
此処で、お前と決着を付けるだけよ!
覚悟しろ!」


シャドー・ゼータは、フライング・アーマーからモビル・アーマード・スーツに変形した。


さすがに、そのパワーは、並を越えて居た。


アルシオーネMkⅠzeroⅡより遥かに凌いで居た。


『勝て無いかも知れない!
これで、俺も、万事休すか?!
今は、全力を尽くすのみ!』


リョウは、嫌な予感がした。


ノリノブが搭乗するシャドー・ゼータには、違和感が在った。


魔の気配とも思える、どす黒い気で在る。


更新日:2013-01-17 15:34:02

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