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苛立ち

夏のコンサートが
始まろうとしてた

梅雨があけて
夏が始まるんだって
実感できるくらい
その日は
暑かった


新曲のPV撮影で
僕達は3日振りに
全員集まった

久し振りに
動きの激しい曲で

それは
リーダーのドラマの
主題歌でもあった


おはよ

笑顔でそう顔を上げた
リーダーは
少し痩せてた

忙しくて
あんまり眠れてないって

そういいながら

嬉しそうに笑ってた


リーダーは
あの日の
電話のことを

あれから一度も
訊いてこなかった

あんな
変なこと
言ったのに

忙しくて
忘れてるのか

気を遣って
くれてるのか

僕も
そのことを
何も言わずにいた


撮影は
夜まで続いた

国見ちゃんと奏君が
何度も振り付けを
間違えたおかけでね

ドラマの撮影が
控えているリーダーは
かなり焦ってた


終わったあと
リーダーは
あっという間に
いなくなってて
国見ちゃんと奏君は
みんなに
ひたすら謝ってた


雛形君帰るよ!

マネージャーに
声をかけられるまで

僕は楽屋で
ゲームに夢中だった

外に出ると
空に星が見えて
僕は歩くのをやめた

新曲が
微かに、どこからか
聞こえてた

思わず口ずさんで
星を眺めてた

小さかったけど
きれいだったよ

バタンと
大きな音をたてて
閉めた車の中で

僕はマネージャーに
言った


ねぇ、
リーダーのドラマ
エキストラでもいいから
出られないかな?


ミラー越しに
マネージャーが
僕を見た


やっぱり仲間だね~
椿山君も
同じこと言ってたよ


びっくりして
体を起こした


さすが奏君
手が早いなぁ。。。


え?そうなの?


僕の言葉に
笑いながら
マネージャーは
頷いてた


もうね
スケジュール
入れてあるんだよね
あっち側からの
申し出

空いてるメンバーが
入ればいいって
話してたんだけど

まさか
二人とも
こっちが話す前に
言ってくるとはね


マネージャーは
そういって

また僕を見た


実は椿山君は
スケジュール合わなくて

雛形君
お願いできる?


え?いいの?
ホント?出たい!出たい!

僕は
嬉しそうにはしゃいでみた

奏君には悪かったけど
素直に
嬉しかったから。


じゃあ、
明後日だから
よろしくね!


はーい

座席の背にもたれながら
僕は
ずっと顔が
にやけてた気がする

更新日:2011-03-19 22:13:48

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