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本音

8時頃
僕は、まだ
電話とにらめっこしてた


家族も友達も
みんな帰って
個室は静かだった

テレビでも
付けようかと
体を起こした時だった

コンコンって
ドアを叩く音がした

こんな時間に
誰だろうって
僕は、なんとなく
新が浮かんだ

でも
入って来たのは
新じゃなくて
リーダーだったんだ

びっくりして
僕は止まってた
せっかくの休みなら
釣りでも
行きそうだから


おう!

リーダーは
軽く手を上げて
入ってくると

ベッドの前に
置いてあった
椅子に座った

帽子被ったまま
少し下向いて

ごめんね、ひな。

と一言呟いた

なんで謝るの?
俺の方こそ
心配かけて
ごめんね。
なんか最近疲れててさ

笑いながら言った

リーダーが
辛そうだったから
好きな人が
辛いと
僕はもっと辛い


リーダーは
何も言わず
ずっと下を向いて
何か考えてる
みたいだった

猫背の背中を
ますます曲げて


リーダー
お願いがあるんだけどさ

そう言うと
リーダーは顔を上げた
帽子を脱いで
それを手で
グシャグシャに
握りながら


リーダーは
分かってないだろうけど
俺ね
限界なんだ
リーダーといるの辛い
笑って済まそうって
思ってたけど
自分に嘘ついたら
こんな結果でさ

リーダーは
眉間にしわ寄せて
僕の話を聞いてた


リーダー
振ってくれない?
ばっさりとさ
これ以上の関係は
無理って
そうしないとさ
俺、諦めることも
出来ないよ。。


ちゃんと言えた
ちぃの言うとおり
きちんと終わらせないと
いけなかったんだ

僕らに
先はないんだ

何も言わない
ただ俯くだけ


言ってくれないの?

リーダーは
握っていた帽子を
ベッドに置くと
バッて顔上げて
僕をじっと見た

しばらく
僕らは見つめあった
凄く長く感じた


あれからさ
考えてたんだ
どうしたらいいか
ひなは
笑って隣にいてくれたけど

神田さんが来た時さ
ひな抱きつかれたでしょ?
あの時
ひな淋しそうに
笑ったんだよね
俺さ
ひなに甘えて
今まで通り過ごせば
すぐに前みたいに
戻れるって
思ってた

俺、こんなだもん
すぐに忘れるって


ごめんね
ひな
ごめん。


リーダーは
真っ直ぐに
僕を見ると言った


振ったりしないよ
俺もひなのこと
好きになる
だから
傍にいてよ


驚いて
しばらく何も言えなかった
何言ってるんだろうって
そう思った


僕は動揺した
バカなことリーダーが
言うからさ


何言ってんの?
俺は
そんなつもりないよ!
いい?
俺は男なの!
同じメンバーで
これから先も
ずっと一緒にいないと
いけないんだよ?


そんなこと
分かってるよ

分かってないじゃん!

ボソッと呟いた
リーダーに
僕は声が
高くなってた

じゃあ
ひななんで
俺に好きだって
言ったの?

僕は
思わず笑った

我慢してたよ
言うつもりなんて
なかったよ
俺みんなのこと
家族と同じくらい
大切だから
こうなること
分かってたし


。。。でもね
伝えたかった
こんなに人を
好きになったこと
今までなかったから
それが
誰でも関係なかった
伝えたかったんだ


僕は
少し胃が痛くなって
お腹を押さえた
それを見て
リーダーは
困った顔して
立ち上がった

リーダー
同情じゃないこと
分かってる
メンバーだから
うまくやろうって
してくれてることも


でもね
俺は
普通に好きなの
佐藤悠が好きなの

僕はリーダーの
手を掴んだ

こうしてさ
ずっと掴まえていたいって
ずっと傍にいたいって
キスしたいって
普通に思えるんだ


泣いてた
久しぶりに
言いたいこと言った
きちんと
告白した
誰になんて言われても
想いは
変えられないから

更新日:2011-01-18 11:21:37

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