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3.結婚式
理子は結婚式の二日前である、5月1日の日に実家へ帰って来た。
入籍済みの二人は既に夫婦として一カ月以上の時間を共に過ごして
いるが、世間の前で夫婦の誓いを立てる前に親元で独身に帰る事に
なった。両親との最後の別れだ。指輪も、式で交換する為に外し、
義姉の紫に預けた。
母と喧嘩別れのような形で家を出て、雅春と暮らし初めてから2カ月
近くになる。たった二日の別れなのに、酷く寂しく感じるのだった。
左手を翳す。指輪の跡が付いている。再びそこへ指輪がはまるのが
待ち遠しい。
久しぶりの実家は、僅か2ヶ月留守にしただけなのに、既に自分の
家と言う感じがしない。勝手知ったる元我が家だ。ここで確かに毎日
生活をしていたのに、祖父母の家を訪れた時のような感覚に似ていると
思った。
「大学の方はどうなの?」
と、母に訊かれた。
「うん。まだ始まったばかりなんで、ちょっと大変だけど、そのうち
慣れてくるかと」
「家事はどうしてるの?学校行ってるんだから大変じゃないの?」
母からそういう事を言われるとは思って無かったので驚いた。
「二人だけの生活だから、どうって事無いかな。料理だって洗
濯だって量が少ないし」
「でも掃除は大変しょう?あそこは広いから」
入籍済みの二人は既に夫婦として一カ月以上の時間を共に過ごして
いるが、世間の前で夫婦の誓いを立てる前に親元で独身に帰る事に
なった。両親との最後の別れだ。指輪も、式で交換する為に外し、
義姉の紫に預けた。
母と喧嘩別れのような形で家を出て、雅春と暮らし初めてから2カ月
近くになる。たった二日の別れなのに、酷く寂しく感じるのだった。
左手を翳す。指輪の跡が付いている。再びそこへ指輪がはまるのが
待ち遠しい。
久しぶりの実家は、僅か2ヶ月留守にしただけなのに、既に自分の
家と言う感じがしない。勝手知ったる元我が家だ。ここで確かに毎日
生活をしていたのに、祖父母の家を訪れた時のような感覚に似ていると
思った。
「大学の方はどうなの?」
と、母に訊かれた。
「うん。まだ始まったばかりなんで、ちょっと大変だけど、そのうち
慣れてくるかと」
「家事はどうしてるの?学校行ってるんだから大変じゃないの?」
母からそういう事を言われるとは思って無かったので驚いた。
「二人だけの生活だから、どうって事無いかな。料理だって洗
濯だって量が少ないし」
「でも掃除は大変しょう?あそこは広いから」
更新日:2010-11-21 22:37:09