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セクター1 銀河の守り手

<サムス>
私は『サムス=アラン』。フリーのバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)だ。
……やはりこれだけでは、自己紹介としては不足だろうか?
仕方無い。すまないが、少しの間だけ昔話に付き合って欲しい。
私も自分の事を話すのは本意ではないのだが、今までの自分の行動と今の自分の気持ちを整理する為には、どうやらこれがベストの手段のようだ。

私は幼い頃、両親と共に『K-2L』と呼ばれる惑星コロニーで暮らしていた。
宇宙船のエネルギー源である『アフローラルタイト』の採掘団の一員として。
そこで私は、突如K-2Lにやって来た『オールドバード』と呼ばれる年老いた鳥人族と友達になった。話したのは僅かな時間であったが、当時の私は彼を実のおじいちゃんのようにさえ感じていた。
ところがオールドバードが去った後、K-2Lは『リドリー』率いるスペースパイレーツ(宇宙海賊)に襲撃された。奴等の狙いは言うまでもなくアフローラルタイト。
両親も含め、採掘団の人達は私という例外を除いて全て殺され、オールドバードが戻って来た時には正気を失った私が荒野を彷徨い歩いていたそうだ。

その後、私はオールドバードに保護されて惑星『ゼーベス』にやって来た。
だが、地球人種にはゼーベスの環境は苛酷過ぎる。
そこでオールドバードは、もう1人の鳥人族『グレイヴォイス』のDNAを私に移植するよう指示。
更に彼は私に戦闘技術とパワードスーツを与え、滅び行く鳥人族の代わりに『銀河の守り手』となる使命を課したのだ。

時は過ぎて私が14歳になったある日、オールドバードは敢えて私の旅立ちを促し、了承した私は銀河連邦軍に所属する事になる。
ところが私が去った後、今度はゼーベスがスペースパイレーツに襲撃される。
結果としてゼーベスはスペースパイレーツとゼーベスの管理システムである『マザーブレイン』の裏切りによって占拠され、鳥人族達は逃げ延びる事には成功したものの以降消息を断ってしまう。

連邦軍で様々なミッションをこなす中、私は不器用ながらも同じ地球人種の人達と親交を深めていく。体も心も大らかな『アンソニー=ヒッグス』。最も気心が知れた『イアン=マルコビッチ』。そして……信頼どころか尊敬さえしていた上官『アダム=マルコビッチ』。
ところがあるミッションにより、アダムとの関係は崩れ去ってしまう。

それは惑星間航行用民間シャトル『ルシタニア号』に長距離航行用の大型ブースターリング、通称『ドライブユニット』を接続するさほど難しくはないものだ。
……の筈だったのだが、イアンの作業中に突如ドライブユニットがオーバーヒートを起こし、今にもメルトダウンおよび爆発が発生する事態に陥ってしまう。
そんな状況下において、アダムは顔色1つ変えずにドライブ切り離しの指示を出す。
私がイアンの救助許可をもらおうとしても一切取り合わず、結果イアンごとドライブユニットは爆発した。この事件をきっかけに、私は軍を抜ける決意をした。今でこそアダムの判断の正しさは理解出来る。
だが当時の未熟な私には……実の両親と育ての親である鳥人族を失っていた私には、弟を見殺しにする兄の姿などとても堪えられるものではなかった。

バウンティ・ハンターになった私は、様々な依頼を受け着実に遂行した。
初めの頃はそうそう選り好みも出来ず、生きていく為に汚い仕事も請けた。
やがてそれなりの実力も付いた頃、私は連邦警察の依頼でとあるミッションを受ける事になった。経緯はこうだ。
連邦の外宇宙調査船がスペースパイレーツに襲われ、惑星『SR388』で発見された未知の生命体『メトロイド』のカプセルが奪われてしまった。
メトロイドはどんな生物であろうともその生体エネルギーを吸収するという恐ろしい能力を持っており、スペースパイレーツに生体兵器として使用されれば連邦は勿論、銀河文明そのものが破滅してしまう。
連邦警察はスペースパイレーツの本拠地がゼーベスである事を突き止め総攻撃を行うも、天然要塞であるゼーベスを攻め落とす事が出来なかった。
そこでゼーベスを知る私に潜入任務を依頼した、という訳だ。
……私にとっては渡りに船だった。
命を奪われた親の仇と、脱出を余儀なくされた親の無念を同時に晴らす事が出来る。
その『隠密の任務(ゼロミッション)』を私は完璧に実行した。
リドリー、メトロイド、そしてマザーブレインの殲滅という成果を以って。

更新日:2010-09-26 23:00:50

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