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メルーの森
「クドたん愛してるーーーー!!」
その魂の叫びと同時に俺は起き上がった。
「あ、あれ? クドは? 俺の膝の上にいた嫁はいずこへ!?」
自分の膝の上には誰もいない。あるのは木から落ちたであろう赤い葉だけ。
「ちくしょう……虚しい……」
押さえようのないため息が漏れる。ああ……いっその事夢の住人になりたかった……。
「ん?」
ふと、目の前に赤い葉がヒラリと舞う。
辺りを見回すと、周りは沢山の木に囲まれていた。
「え〜〜、グロイ夢を見て、クドとラブラブな夢を見て、そしてこれが現実か?」
返答は無し。もうここは現実と見ていいのか? いいんだな? よし現実だ。
「しっかし赤くて綺麗だな〜、紅葉かな〜〜、もう秋か〜」
あれれ、でも今は夏じゃなかったか? 俺の格好も黒T黒短だし。第一なんで寒さが全く感じないんだ?
「また……夢か?」
一体いつまで起きないつもりだよ俺は。もしや倒れた時打ち所が悪くあのまま救急車に運ばれてまさかの植物人間と化してしまったのだろうか?
いやいや、それだったら夢なぞ見んだろうが、たぶん。
「とりあえず……歩くか」
立ち上がり、俺は森林の中へ歩を進めた。
どうにも地面を踏む感触がリアルだ。やばいよこれ、現実の可能性がどんどん上がってきたよ〜。
まぁいざとなったら必殺の現実逃避があるし、そう簡単に俺の心が乱れるとは思えんがな……ハッハッハ! さっきのうねうねした闇は急すぎて必殺技を出す暇がなかったが、発動する時間があるなら余裕だぜ!
「…………ダメだ。不安だ……とてつもないほど不安だ。どうしよう俺。なんでこんな所にいんの? 夢なら覚めろよ! 早く! 早くーーーー!!」
「うるさ〜〜〜〜い!!」
木々の間から声が聞こえてきた。もしや人かと思い、希望を込めて視線を向ける。
「すみませーん! ここは一体何処なのか教えてくれません……か……?」
「も〜〜、眠れないじゃない〜〜、どこの魔獣……よ……?」
時が……止まった。目の前には小さな羽をパタパタと動かし、無垢な瞳で俺を凝視している生物がいる。
あの、なんと言えばいいんだ……俺の目がおかしくなければ……よ、妖精がいるように見えるんだが……。
「な、なんでこんな所に人間が……。 ど、どうしてあたしを見てるの? 後ろに何かいるのかしら……」
と、そそくさと右にずれる妖精さん。そんな事をされても、目線はオートで完全にロックオンされているので、俺もそれに合わせて首を右に回す。
「あ、あれ? おかしいな……」
今度は下に移動する妖精さんに合わせて、俺も目線を下へ。
「…………み、見えてる?」
無言のまま、俺は小さく頷いた。
その魂の叫びと同時に俺は起き上がった。
「あ、あれ? クドは? 俺の膝の上にいた嫁はいずこへ!?」
自分の膝の上には誰もいない。あるのは木から落ちたであろう赤い葉だけ。
「ちくしょう……虚しい……」
押さえようのないため息が漏れる。ああ……いっその事夢の住人になりたかった……。
「ん?」
ふと、目の前に赤い葉がヒラリと舞う。
辺りを見回すと、周りは沢山の木に囲まれていた。
「え〜〜、グロイ夢を見て、クドとラブラブな夢を見て、そしてこれが現実か?」
返答は無し。もうここは現実と見ていいのか? いいんだな? よし現実だ。
「しっかし赤くて綺麗だな〜、紅葉かな〜〜、もう秋か〜」
あれれ、でも今は夏じゃなかったか? 俺の格好も黒T黒短だし。第一なんで寒さが全く感じないんだ?
「また……夢か?」
一体いつまで起きないつもりだよ俺は。もしや倒れた時打ち所が悪くあのまま救急車に運ばれてまさかの植物人間と化してしまったのだろうか?
いやいや、それだったら夢なぞ見んだろうが、たぶん。
「とりあえず……歩くか」
立ち上がり、俺は森林の中へ歩を進めた。
どうにも地面を踏む感触がリアルだ。やばいよこれ、現実の可能性がどんどん上がってきたよ〜。
まぁいざとなったら必殺の現実逃避があるし、そう簡単に俺の心が乱れるとは思えんがな……ハッハッハ! さっきのうねうねした闇は急すぎて必殺技を出す暇がなかったが、発動する時間があるなら余裕だぜ!
「…………ダメだ。不安だ……とてつもないほど不安だ。どうしよう俺。なんでこんな所にいんの? 夢なら覚めろよ! 早く! 早くーーーー!!」
「うるさ〜〜〜〜い!!」
木々の間から声が聞こえてきた。もしや人かと思い、希望を込めて視線を向ける。
「すみませーん! ここは一体何処なのか教えてくれません……か……?」
「も〜〜、眠れないじゃない〜〜、どこの魔獣……よ……?」
時が……止まった。目の前には小さな羽をパタパタと動かし、無垢な瞳で俺を凝視している生物がいる。
あの、なんと言えばいいんだ……俺の目がおかしくなければ……よ、妖精がいるように見えるんだが……。
「な、なんでこんな所に人間が……。 ど、どうしてあたしを見てるの? 後ろに何かいるのかしら……」
と、そそくさと右にずれる妖精さん。そんな事をされても、目線はオートで完全にロックオンされているので、俺もそれに合わせて首を右に回す。
「あ、あれ? おかしいな……」
今度は下に移動する妖精さんに合わせて、俺も目線を下へ。
「…………み、見えてる?」
無言のまま、俺は小さく頷いた。
更新日:2011-02-05 17:57:37