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番外 カルクの料理
「んしょ、んしょ」
「カールクッ! 何やってんの?」
「きゃあ!」
一生懸命何かをこねているカルクに友達のハヤは背中から抱きついた。
「な、なんだハヤか、びっくりさせないでよも~」
ハヤは目線をカルクの手元へ向けると、大げさに目を見開く。
「え……ま、まさか……料理!?」
「むっ」
そんなに驚かなくてもいいじゃない、とカルクは少し拗ねて頬を膨らます。
「ふんだ、あたしが料理するのがそんなにめずらしい?」
「へ~、ふ~ん、ほ~」
「な、何よ」
ハヤが急にニヤニヤとしだした。この表情は絶対にからかう気満々だ。
「好きな殿方でもできた?」
「ちーがーうー! そんなんじゃない! も~う、何であたしが料理をしているだけでそうなっちゃうのよ」
「だって~、カルクが料理する所なんて初めて見たんだもん、これはよっぽど重大な事が起きたとしか思えないでしょ」
それはそうだ、今作っているこれがカルクの生まれて初めて作る料理なのだから。
「べ、別に重大なことなんかじゃないもん、ただね――」
「ん~?」
「――ただ、あの人、夜お腹空くだろうなって思っただけで、ほんと、全然大したことなんかじゃなくて」
「あの人って……あんたを攫った人間の事?」
「……ううん、違うの。最初はそう思ったけど、それはあたしの勘違いだった。あの人は、あたしを助けようとしてくれていたんだと思う」
カルクなりに、考えてみた。羽が傷ついてしまい地面に落ちそうになった所を助けてもらい、それを心配してすごく困って焦っていた。そして昨日の夜、寂しくて、心細くて、泣いちゃいそうだったあたしにくれた優しい温もり。
「だからね、あたしはあの人に何かしてあげたいって思うんだ。もしかしたらこの気持ちはおかしいって、騙されてるって言われちゃうかもだけど」
ハヤはそこまで聞いて、ワザとらしく「はぁ~~」とため息をつき、お手上げ! と手の平を上に向ける。
「まったくもう、あんたはホント、昔から変わってるわね、両親はあんなに立派な妖精なのに」
「ひ、ひどっ! ハヤのばーか! ばーか!」
「それはあんたでしょ、ばかカルク」
なんとなく、ハヤはカルクの頭を撫ででみる。途端、カルクは頬を薄い赤に染めながら「や、やめてよもぅ……」と言いながらも、気持ちよさそうに目を細める。
「けどあたし、そんなカルクの事大好き」
「い、いきなり何よ……」
「ふふふっ♪」
カルクは気づいていない、自分が仲間の妖精達みんなから馬鹿にされていることを。そして、村で一番誰からにでも愛されていることを。
その後、ハヤにも手伝ってもらって作ったプルは途中何度も味付けに失敗してしまい、百個程作ったはずが、一桁に激減してしまった時のカルクの落ち込みようは酷かったという。
「カールクッ! 何やってんの?」
「きゃあ!」
一生懸命何かをこねているカルクに友達のハヤは背中から抱きついた。
「な、なんだハヤか、びっくりさせないでよも~」
ハヤは目線をカルクの手元へ向けると、大げさに目を見開く。
「え……ま、まさか……料理!?」
「むっ」
そんなに驚かなくてもいいじゃない、とカルクは少し拗ねて頬を膨らます。
「ふんだ、あたしが料理するのがそんなにめずらしい?」
「へ~、ふ~ん、ほ~」
「な、何よ」
ハヤが急にニヤニヤとしだした。この表情は絶対にからかう気満々だ。
「好きな殿方でもできた?」
「ちーがーうー! そんなんじゃない! も~う、何であたしが料理をしているだけでそうなっちゃうのよ」
「だって~、カルクが料理する所なんて初めて見たんだもん、これはよっぽど重大な事が起きたとしか思えないでしょ」
それはそうだ、今作っているこれがカルクの生まれて初めて作る料理なのだから。
「べ、別に重大なことなんかじゃないもん、ただね――」
「ん~?」
「――ただ、あの人、夜お腹空くだろうなって思っただけで、ほんと、全然大したことなんかじゃなくて」
「あの人って……あんたを攫った人間の事?」
「……ううん、違うの。最初はそう思ったけど、それはあたしの勘違いだった。あの人は、あたしを助けようとしてくれていたんだと思う」
カルクなりに、考えてみた。羽が傷ついてしまい地面に落ちそうになった所を助けてもらい、それを心配してすごく困って焦っていた。そして昨日の夜、寂しくて、心細くて、泣いちゃいそうだったあたしにくれた優しい温もり。
「だからね、あたしはあの人に何かしてあげたいって思うんだ。もしかしたらこの気持ちはおかしいって、騙されてるって言われちゃうかもだけど」
ハヤはそこまで聞いて、ワザとらしく「はぁ~~」とため息をつき、お手上げ! と手の平を上に向ける。
「まったくもう、あんたはホント、昔から変わってるわね、両親はあんなに立派な妖精なのに」
「ひ、ひどっ! ハヤのばーか! ばーか!」
「それはあんたでしょ、ばかカルク」
なんとなく、ハヤはカルクの頭を撫ででみる。途端、カルクは頬を薄い赤に染めながら「や、やめてよもぅ……」と言いながらも、気持ちよさそうに目を細める。
「けどあたし、そんなカルクの事大好き」
「い、いきなり何よ……」
「ふふふっ♪」
カルクは気づいていない、自分が仲間の妖精達みんなから馬鹿にされていることを。そして、村で一番誰からにでも愛されていることを。
その後、ハヤにも手伝ってもらって作ったプルは途中何度も味付けに失敗してしまい、百個程作ったはずが、一桁に激減してしまった時のカルクの落ち込みようは酷かったという。
更新日:2011-05-29 02:09:40