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 別視点

 地獄。そこは悪業をしてきた者の最後の到達点。
 悪なる魂が、罪を償うため永遠に苦しみ、もがく場所。
 そんな世界で、一体の悪魔が執務室でせっせと紙に目を通していた。

「はぁ〜〜、仕事が終わる気がしない」

 その名はバルフレア。頭に生えてある二本の角が特徴の人型の悪魔だ。
 人型の悪魔は他の形態の悪魔よりとても知恵があり、この世界でも高位の悪魔として属する。
 現にいま彼は、魔王の右腕としてその能力を存分に振るっている。

「魔王様に頼られるのは嬉しいが、ここまで仕事が多いとさすがに私も疲れてきたぞ」

 ぶつぶつと文句を言いながら、死人リストの確認をしていると、

「バルフレア様〜〜!!」

 バンッと急に扉が開き、積み重なった書類が一気に崩れそうになる。

「おわ〜〜!! あ、危なかった…………スカル! ノックもなしに扉を開けるなと何度も言っているだろう! お前はいつもどうして――」

 骨の化身の悪魔、スカルが毎度のように慌ただしく執務室に入ってきて、今日こそは説教をしようとする。

「そんな事言ってる場合じゃありません!! 緊急事態です!!」

「そんな事とはなんだ! こっちは危うく書類が台無し――何? 緊急事態?」

 いつになく真剣なスカルに、バルフレアの目が、鋭く光る。

「はっ! ……その、非常に申し上げ難いのですが……」 

 しどろもどろに言い淀むスカルの表情は、信じられないとばかりに青ざめている。

「なんだ? 早く言え」

「……それが、送還隊の一部が手違いを起こしまして……」

「何!?」 

 

更新日:2010-09-08 02:21:48

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