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地獄へ
「くは〜〜、このキャラ萌えるな〜」
夏休み。俺は家に篭り、ひたすらギャルゲーをやりまくる。
とてつもないほどに充実した生活だ。
平川 透(ひらかわ とおる)高校二年生。美少女をこよなく愛し、引きこもり気味なただの少年。
「ぐわっ! 袁術たん上目遣いはやばいって〜〜!」
最近独り言が多いのが悩みだ。
「ハァハァハァ……じゅる……食べてもいいですか?」
そしてなかなかの変態だ。
ぐぅ〜〜〜〜。
これで何回目かもわからない腹の虫がなく。
「ウヒッ……ウヒヒヒ……あん? 腹減ってたのか俺」
そういやかれこれ一週間は何も食べていなかった気がする。
名残惜しいが、近くのコンビニででも食料を確保しておかんと……。
死んだら元も子もない。
気怠げに立ち上がると、頭がフラフラする。ものすごく体が重い。
やべぇ、結構無理してたな俺。
「あ……れ……?」
バンッ
視界が大きく揺れる。そのまま俺は、近くにあった机のカドに頭を打ち付け、辺りが何も見えなくなった。
「……ここは……どこだ?」
目を覚ますと、黒が広がっていた。自分が今どこにいるのかさえ分からないほど周囲を覆っている深い闇が、俺という存在を飲み込もうとしている。
「――っ! ――っ!」
激しい動揺。俺の中にある感情という感情が渦を巻き、言葉にならない声を上げさせる。
ここはどこなのか、何故こんなところにいるのか、自分の身に一体なにが起きたのか。
考えようとすればするほど、どんどん混乱が増していく。
ヒュルン
闇は俺が気付くと、急に飲み込むのをやめだした。
「うあっ……はっ……はっ……」
ひとまず安心だが、事態は相変わらず意味が分からない。
いっその事思考を停止させてやりたいと思うも、なにも見えないという恐怖に、生存本能が働き脳が状況を把握しようと奮闘する。
ゲームやってて、腹減ったから食いもん買いに行こうとして、それで――。
「――倒れた?」
そしたらなんでこんな所にいるんだよ。夢か? 夢なのか? そうだ、そうだよな、こんなのが現実にあるはずがないよな。ふぃ〜、良かった、一時はどうなる事かと……。
それなら早く覚めろよ。愛しい嫁達が待ってるだろうが。
「つーかよ……俺はなんつー夢を見てんだよ……」
まるで生き物のように自分の周りを四方八方にうごめいている暗闇。こんなおぞましいのが夢に出てくるなんて、自分の頭は正常なのかと問いたくなってくる。
普通ここは美少女だろ、ふざけるな俺。
「ちくしょ〜〜よめ〜〜……お?」
自分の夢に対して、激しい憎悪を向けていると、暗闇から小さな光が見え出した。
気になり恐る恐る近づいてみる。
「これは……玉?」
光の正体は、空中で不安定に浮いている淡い紫色の光を放つ球状の物体だった。
「さ、触ってみてもいいのかな?」
人の好奇心と言うものは本当に凄まじいとしみじみ思う。
こんな夢の中でも、俺はこの物体に興味を惹かれてならない。
「いくぞ〜〜さわっちゃうからな〜〜いいんだな〜〜……せーのーしーで!」
途端、俺の体は光に包まれた。
夏休み。俺は家に篭り、ひたすらギャルゲーをやりまくる。
とてつもないほどに充実した生活だ。
平川 透(ひらかわ とおる)高校二年生。美少女をこよなく愛し、引きこもり気味なただの少年。
「ぐわっ! 袁術たん上目遣いはやばいって〜〜!」
最近独り言が多いのが悩みだ。
「ハァハァハァ……じゅる……食べてもいいですか?」
そしてなかなかの変態だ。
ぐぅ〜〜〜〜。
これで何回目かもわからない腹の虫がなく。
「ウヒッ……ウヒヒヒ……あん? 腹減ってたのか俺」
そういやかれこれ一週間は何も食べていなかった気がする。
名残惜しいが、近くのコンビニででも食料を確保しておかんと……。
死んだら元も子もない。
気怠げに立ち上がると、頭がフラフラする。ものすごく体が重い。
やべぇ、結構無理してたな俺。
「あ……れ……?」
バンッ
視界が大きく揺れる。そのまま俺は、近くにあった机のカドに頭を打ち付け、辺りが何も見えなくなった。
「……ここは……どこだ?」
目を覚ますと、黒が広がっていた。自分が今どこにいるのかさえ分からないほど周囲を覆っている深い闇が、俺という存在を飲み込もうとしている。
「――っ! ――っ!」
激しい動揺。俺の中にある感情という感情が渦を巻き、言葉にならない声を上げさせる。
ここはどこなのか、何故こんなところにいるのか、自分の身に一体なにが起きたのか。
考えようとすればするほど、どんどん混乱が増していく。
ヒュルン
闇は俺が気付くと、急に飲み込むのをやめだした。
「うあっ……はっ……はっ……」
ひとまず安心だが、事態は相変わらず意味が分からない。
いっその事思考を停止させてやりたいと思うも、なにも見えないという恐怖に、生存本能が働き脳が状況を把握しようと奮闘する。
ゲームやってて、腹減ったから食いもん買いに行こうとして、それで――。
「――倒れた?」
そしたらなんでこんな所にいるんだよ。夢か? 夢なのか? そうだ、そうだよな、こんなのが現実にあるはずがないよな。ふぃ〜、良かった、一時はどうなる事かと……。
それなら早く覚めろよ。愛しい嫁達が待ってるだろうが。
「つーかよ……俺はなんつー夢を見てんだよ……」
まるで生き物のように自分の周りを四方八方にうごめいている暗闇。こんなおぞましいのが夢に出てくるなんて、自分の頭は正常なのかと問いたくなってくる。
普通ここは美少女だろ、ふざけるな俺。
「ちくしょ〜〜よめ〜〜……お?」
自分の夢に対して、激しい憎悪を向けていると、暗闇から小さな光が見え出した。
気になり恐る恐る近づいてみる。
「これは……玉?」
光の正体は、空中で不安定に浮いている淡い紫色の光を放つ球状の物体だった。
「さ、触ってみてもいいのかな?」
人の好奇心と言うものは本当に凄まじいとしみじみ思う。
こんな夢の中でも、俺はこの物体に興味を惹かれてならない。
「いくぞ〜〜さわっちゃうからな〜〜いいんだな〜〜……せーのーしーで!」
途端、俺の体は光に包まれた。
更新日:2011-02-05 17:57:09