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「ロジック、キューブ……?」
 表示された言葉に、純也は絶句した。
 既にゲームは始まっていたのだ。
 端末に表示された残り時間。これがゼロになった瞬間、純也の首輪が爆発し、頭が吹き飛ぶというわけだ。首輪の爆弾が本物ならば。
 身近に迫ってきた死の気配に、純也の頭は真っ白になった。
「あ、開けてくれっ! ここから出せっ!」
 ドアの取っ手を何度もひねる。しかしガキンという重たい金属の音がするのみでドアが開く気配はない。
 部屋の外に人はいないのか?
 純也はドアを拳で叩きながら、何度も助けを求めた。しかし、返ってくるのは沈黙のみで、部屋の外に人がいる気配も伝わってこない。
 やがて純也は力尽きたかのように、ドアへとしなだれかかった。
「俺、死ぬのか……?」
 ぞっと肝が冷える。
 こんなどことも知れない場所で孤独に死ぬ。
「そんなのは嫌だ……」
 純也の心に言い知れぬ憤怒のようなものが燃え上がった。
 きっと純也をこの部屋に放り込んだ何者かは、どこかで今の純也の様子を見て笑っているだろう。
「誰かは分からないけど、お前の思うようにはさせない」
 絶対に生きてここから出る!
 そう決意し、純也は立ち上がる。
 そして改めて部屋の中を見回してみた。
 窓はなく、壁はいたるところが鉄筋剥き出しの状態になっている。
 天井は高く、設置された蛍光灯がほのかな光を放っている。床は白色のタイル張りになっていて、正方形のタイルがびっしりと隙間なく埋まっていた。

更新日:2010-08-29 13:03:21

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