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達者

挿絵 396*331

ある日突然、私の携帯電話に「達者」という件名のチェーンメールが送られてきました。下記にその内容を記載します。


見知らぬあなたへ、突然のメール失礼致します。ですが、この内容が事実である可能性が高いので、皆さんにお知らせします。私の知り合いのA君が、友達であるB君から受けた相談内容です。

B君は、この前、中国の一人旅から帰ってきたばかりです。

以下にB君の話をまとめました……

B君は国内外問わずによく一人旅をする、ベテランの旅行者でした。この秋は中国に行っていました。山々の集落を点々と歩き、中国4千年の歴史を満喫していたそうです。

ある集落に行く途中の山道で「達者」と書いてある店がありました。

人通りも少ない薄暗い山道で店があるのは今思えば不思議なことですが、その時は「達者」という看板だけに、何かの道場かなと軽い気持ちでその店に入ったそうです。

実は、B君も後で分かった事なんですが、「達者」と書いて「ダルマ」と読むそうです。

さて、ここで「ダルマ」というものを私が調べて知る限り説明したいと思います。

選挙の時などに目を入れる「達磨(ダルマ)」はご存知の方も多いと思います。ですが、これの原形となった「達者(ダルマ)」は結構知らない方が多いのではないでしょうか。今回の件の当事者B君もその1人でした。

「達者(ダルマ)」というのは、清朝の時代の拷問・処刑方法の一つで、人間の両手両足を切断し、頭と胴体だけの状態にしたものです。

「西大后」というタイトルの映画があるのですが、この中でも「達者」は登場しています。劇中では、美しい女中に西大后が嫉妬し、その女中が両手足を切断され、瓶の中から首だけを出した状態で暗い密室に幽閉される場面が描かれています。

また「達者」は、しっかりと化膿止めや止血を行えば、イモ虫状態のまま何年も生き存えるといいます。ただし、食事は誰かが与えなければいけませんが…。

あと、こんな噂もあります。「達者」でないとSEXできないという性癖を持つ人間(男女問わず)が存在するというのです。そして、彼らは、達者屋で随時新しい「達者」を購入するといいます。この話が、もし本当ならば、その達者になった人たちは何者なのでしょうか。中国マフィアが貧民から奴隷として連れてきた人たちや、そのマフィアに処刑された人々なのでしょうか?

気になって、知り合いの在日中国人に尋ねたところ、「達者」は戦前はよくいたらしいです。当たり前ですが、現在はそんな事をしたら罰せられるそうです。しかし、中国系マフィアなどは現在も見せしめなども含めて、そういう事をする可能性は多いにあるらしい、との事でした…。

さて、話をB君に戻したいと思います。

B君の入ったその店の中は薄暗く、数人の中国人がいたそうです。奥のほうに人形が並んでおり、品定めをしようとよく見ると目や口が動くのです。…そうです、人形と思っていたソレは「達者」だったのです。B君はこの時「達者」の事を知りません。仮に知っていたとしても、本当にそれを目の前にすると恐怖に支配される事でしょう。

B君は周りの中国人が近づいてくる気配がしたので、身の危険を感じ急いでその店を出ようとしました。その時です。後ろの「達者」の1人が喋ったのです。しかも、日本語で…

「おまえ、日本人だろ。俺の話を聞いてくれ!俺は立教大学3回生の○○だ。助けてくれ!」

しかし、B君は恐怖に支配されており、何も聞いていない・日本語も分からないかの様に「達者」を無視してその店を出てました。

その後すぐB君は帰国し、立教大学の○○さんについて調べてみたそうです。すると、確かに今年立教大学の学生が中国に1人旅に行き、行方不明になっていたのだそうです。ご両親も捜索願をだしているとか…。

B君はこの事をどう対処したらよいか悩んでいるそうです。変に動いては、自分も「達者」にされるかも、とか。何故そのとき○○さんの話を聞かなかったのかと責められるかも、とか。

とにかく現在はこの「達者」の件を早く忘れたいらしいです…。

「達者」が存在する事実を皆さんにお知らせすると共に、B君を、そして○○さんを助けれる方法を知っている方からのご意見をお待ちしております。


以上が私の携帯電話に届いたメールの内容です。

私にはB君も○○君も助けれる方法を知りません。

中国は昔から反日感情も強く、ましてや治安の行き届かない山奥。
旅慣れない人はなるべく1人旅などせずに、治安の良い場所へ行くべきなんでしょうね。

この話を信じる信じないはあなたの自由です。

更新日:2010-08-07 20:51:12

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