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『Message』 友野 亜紀さん

 
『Message』友野 亜紀さん(青春,恋愛・完成・166ページ)


※話の展開も書くので、読む予定の方や読んでいる方は注意してください。

【作品の第一印象】
丁寧に書かれていて、登場人物も少ないので読みやすいです。
恋愛と青春が半分ずつといった印象。文学的な感じもしました。

【登場人物】
相澤 桃(あいざわ もも)主人公
真田 一哉(さなだ いちや)桃が苦手な男子
庭月 麻波(にわつき まなみ)桃の親友、真田が好き
岡部 昌人(おかべ まさと)桃が好きな先輩

【解説・感想】
前半の中学時代の感想です。

好きな先輩がいる一方で、今まで気にもしてなかった真田の存在が
少しずつ大きくなる。だけど彼を好きな女の子が自分の親友。
真田に対する桃の気持ちの微妙な変化が読みどころかなと思いました。

真田の志望校を知っているにも関わらず、麻波に教えないでいたり、
確実な推薦をやめて一般入試に変えて同じ高校に合格するなど、
親友に対して後ろめたい気持ちがある一方で、
言葉には出さずに行動で真田に対する想いを表している気がしました。

あとは真田の寄せ書きのアルバムに桃の書いたことがタイトルと
関係があるのかなと思いました。

ほんの少しだけ高校時代がありますが、桃の気持ちの区切りのシーンで、
ここで前半が終わりだと思います。


後半の大学時代の感想です。

五年間の空白によって遠ざかってしまった二人が
周りの人たちに助けられながら徐々に距離を縮めて行く。
その辺りが読みどころかなと思いました。

まずは、真田に彼女がいるかどうかが気になる点でした。
桃の思い込みのようにも取れる一方で、真田は桃のことが好きだったと
過去形で話しているので彼女がいるのかどうか、読んでいて気になりました。

二人が中学校の前を歩いているシーンで、桃に対する気持ちを真田が
アイスホッケーに例えているところが面白いと思います。
二人の距離が少し縮まりますが、桃が真田のハンカチを返しに行ったとき、
再び距離が開いてしまいます。

次に麻波が桃に喝を入れる場面があります。
中学時代は麻波が頭を下げて桃に頼みごとをしていたのに、
麻波が桃の相談相手になっているのが面白いと思います。
あと、二人を応援する宇津木の存在も忘れてはいけないでしょう。
麻波と宇津木は重要な脇役になってると思います。

そして、クライマックスへと向かいます。
二人がどうなるかは、読んで頂きたいと思います。


全体を通して気になる点を挙げると、『所謂』とか難しい漢字が
時々出て来ることですね。(難しくないのかもしれませんが)
あとは、真田に振られた麻波や瑞乃が桃に優しいかなと思いました。
二人がどのようにして真田に対する気持ちを整理したのか
サイドストーリーに描かれて欲しいと思いました。


以上で解説・感想を終えたいと思います。
ご意見等ございましたらお寄せください。

更新日:2010-09-05 17:59:25

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