• 5 / 130 ページ

俺達の想い

「俺はここで待ってるよ」
そう言って俺は地上にいた。
これから学校の地下にあるギルドという場所に武器を調達しに行く、と言われたがなんか危険なにおいがしたから止めといた。
「……」
俺は以前、ゆりに紹介されたコーヒー、Keyコーヒーを飲んでいた。
すると何処からか音楽が聞こえてきた。
これには聞き覚えがあった。
俺は音のする方へ足を運んだ…。

*********

「ふぅ…」
岩沢が額から流れた汗を拭う。
やはり、ここで練習をしていたみたいだ。
「よぉ」
俺は曲が終わったのを見計らってドアを開けた。
「あぁ、記憶無し男」
岩沢が軽く手を挙げた。
だから記憶無し男はちょっと……。
「岩沢…一応あいつも仲間でしょ?
だったら名前で呼んだげなよ。
私はひさ子って呼んで」
ひさ子と呼ばれた女の子は手を差し出してきた。
「よろしく」
俺も手を差し出し、握手を交わす。
「あとは、彼女が入江で、彼女が関根。
この4人が私達、GIRLS DEAD MONSTERだ」
岩沢が椅子に腰を降ろしながらそう言った
「あの時も曲を聞いてたけど、いい曲だったよ」
「CrowSongか。
あれは私の自信作の一つだ」
彼女は笑いながら言った。
「他にもあるのか?」
あるなら聞きたいな、という気持ちで聞いてみた。
「聞きたいなら聞かせてやるよ」
俺は少し驚いた。
まさか、ホントに聞かせてくれるとは思わなかった。
準備の途中、ひさ子が近づいてきた。
「岩沢になんか言ったの?」
小声で聞いてきたので、幾分不自然だと思った。
「別になにも」
とりあえず小声で返す。
「岩沢があんなに気分良いの、初めてだよ。
あいつ、もしかしたらあんたに…」
ひさ子が何か言いかけた時岩沢が、ひさ子〜、と呼ぶ。
はいは〜いとひさ子が手を挙げる。
「ま、いいや。
それじゃあ、楽しんでってよ」
ひさ子も合わせ、みんなが配置につく。
「さぁ、みんな…。
いくぜ!」
岩沢の合図で、音楽が流れ出す。
なにもない空間から、音楽という世界が創られる。
一本一本が奏でる音に、俺は聴き入っていた…。

*********

「どうだった?」
汗を流している岩沢が聞いてきた。
「よかった。
音楽はよくわからないけど、すごいと思う」
「そ、そうか……」
岩沢が照れたような笑みを浮かべた。
彼女の顔が、ほんの微かに、紅くなっていたのを、俺は見逃さなかった。
こんな表情も見せるんだな。
少し、可愛いと思った。

更新日:2011-10-20 20:41:59

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook