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小説

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一難去って……

手術は無事に成功しました。前評判通り、本当に眠っている間に終わりました。
あれだけ僕を悩ませていた頭痛も治まって気分スッキリ……。

本当の意味ではスッキリしていませんでしたが。
前回の入院から1年もしないで腫れモノが出来たと言う事実に、僕はこれから先のことに不安を覚えていました。
……次はいつだろう。
風邪やインフルエンザと違って、手洗いやうがいをして防げるものではありません。
今回は切れる場所に出来たからいい。もし今度は治療が困難なところに出来たらどうしよう……。
そんな事ばかり考えていました。

何せICUって暇!
テレビもないし!
やる事がない!
天井を見つめながら考える事しか出来ないのだけれど、ICUにいた3日間は、変な事ばかりをずっと考えてしまいました。

ICUから解放されて、歩けるようになると、点滴のぶら下がったキャスターを引きずりながら病院を散策するのが日課になりました。
歩いていて気付きました。

……足が変。

去年、酷い捻挫をしました。
その後に同じところを捻りました。
更に、スキーに行って捻っていました。
しばらくの間、足を引きずって歩く事が続き、変な歩き方をずっとしていたせいか、膝に違和感を覚えるようになっていました。
ジンジンするような……痺れとは違うようだけれど、痛い訳じゃなく……でもやっぱり普通じゃない。
日常生活に支障をきたしてはいなかったので、あまり気にしていなかったのですが、その違和感が手術後に軽い痛みに変わっていました。
看護師さんに足の異常を訴えると、すぐさま検査をする事になりました。
……その日の夕方、いつも来る時間になっても兄ちゃんが見舞いに来ませんでした。
その日は仕事明けの父さんと母さんも一緒に来る予定でした。
やっと父さんと兄ちゃんが病室に入って来ると、ドクターも一緒にやって来ました。
何があったかはすぐに想像が付きました。

……足の骨にも腫れモノが見つかりました。
ドクターはその場で何だか色々と説明を始めていたけれど、ドクターの顔を見て頷いて見せながら、話しなんて何も聞いていませんでした。
話し終わったようだったので、「分かりました、お願いします」と言ったのだけは覚えています。
後日行われた手術説明会は出たんだっけ、行かなかったんだっけ……それすら覚えていません。
その日から家族と会話はしなかったと思う。
心配させてはいけないなんて気は起きませんでした。
腫れモノが良性か悪性かなんて事も気にしていませんでした。
悪性だった場合、場合によっては左足がなくなるって聞いても怖くなかった。
「ああ、そうですか」とだけ言った自分の方が怖いな……と心のどこかで思っていた覚えはあります。

足の手術日が決まったのは、本当だったら、そろそろ退院日が決まるかどうかと言う時でした。

更新日:2010-07-30 21:16:39