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小説

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ショック

検査のキャンセル待ちと言う話でしたが、入院した翌日の朝一番に検査室に放り込まれました。
そして夕方に父さん、母さん、そして兄ちゃんが来た時には病名が確定しているだけでなく、手術日まで決まっていました。
……実にスピーディーな対応。その為、心の準備が追いつきません。

僕のちっちゃくて貧弱な脳みそに腫れモノがあるから手術します……っていきなり言われても……。

ある程度は予想していた病気だったので、事前にネットとかで調べてもいたのだけれど、手術の他にもイロイロな治療法があるんだよね?
……頭を切り開かなくてもいい方法がさ。

何のことはないです。手術がとても怖かったのです。なにせ頭ですから。
てっきりドクターから色々な治療方法を提示されて、
「どれにします?」
「ど・れ・に・し・よ・う・か・な……コレ♪」
と言う風に、患者が選べるものだとばかり思っていました。

「切れるところにある病巣なら切った方がいいです」とドクター。
……『切った方がいい』だなんて簡単に言ってくれるよ……と思ったのは言うまでもありません。

「だったら切っちゃえ」と、もっと簡単に言い放った我が父・崇義。
……おめえはたかが胆石の手術でビビりまくってたくせに。

「眠っている間にあっと言う間よ」と努めて明るく振舞おうとしながら笑顔が引きつっている我が母・仁美。
……そんな笑顔を見たら余計に不安になるっつーの。それにそのまま眠りっぱなしになると言う可能性だってあるのよ!?

「…………」終始無言で、僕のちっちゃくて貧弱な脳みその写真を凝視していた兄ちゃん。
……『何か言えよ!人の脳みそジロジロ見るな!』と思いつつ、何か言ったら言ったで『気休めは言うな!』とヤサグレていた事は想像に難くありません。ある意味正しい判断だったと言えるでしょう。

……えっと……今決めなくちゃダメなの?

渡された説明書には手術時におけるリスクの項目が幾多にも渡って書かれていました。
これを見て「OK、頼んだよ!煮るなり焼くなりお好きにどーぞ♪」とサインする人がいるのか!?
……殆どの人がそうなんだろうな。
みんな病気が治る為だったらなんだってするんだよ。
……でも、怖い。
けれど、今年二十歳を迎えるオトコのコが手術にビビる図と言うのも見っともないような気がして、
「では、お願いします」と平然とした振りをして言いました。

それから手術までのおよそ一週間は眠れぬ夜を過ごしました。
不安で不安でなんにも手に付かない。
それでも一人で病室にいる時はまだ良かった。
家族が見舞いに来てくれた時に、元気に明るく振舞うのがとても辛かったです。
ドクターに「切るなら切りやがれ、うりゃあ!」と大見得を切っちゃったんだもん。今更怖いだなんて言えない。
冗談っぽくでもいいから、「やっぱり怖いよぉ~!」と言えれば少しは楽になるかも……とも思ったのですが、気を緩めたら泣いてしまいそうなくらい怖くて不安だったので、言えませんでした。
……父さんたちにだってどうしようもないんだもん。それなのに助けを求められて泣かれても困るだけだよ。
今だって父さんたちの顔を見れば、本当は物凄く不安を感じている事は分かる。
……脳腫瘍なんてテレビドラマに出て来るような病気に家族がかかるだなんて、よもや思ってもいなかったよね。
ただでさえ病気の事で心配をかけているのに、もうこれ以上困らせるような事はしたくない。
僕が手術当日まで頑張ればそれで済む。
手術は眠っている間に終わるのだから………………そうであって欲しい。

そして平気な素振りを演じたまま手術当日に……。

更新日:2010-07-30 16:10:17