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小説

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心の中


シュウに、アパートまで車で送ってもらった。何年ぶりだろう。
今のアパートには、シュウに内緒で、引っ越した。

シュウのことは、好きだった。愛してた。
私にとって、初めての大人の恋愛だった。
でも、まだ結婚は、正直、考えられない。
デザイナーとして、仕事が、出来るのかどうかも分からない。
それでも、何もしないで諦めることは、出来なかった。

あの時、シュウが、来ても、来なくても
私の選択は、変わらなかったと思っている。
デザイナーになる夢を選んでいたんだと思う。
それをシュウが、認めてくれるのかどうか
私は、確かめたかった。

大袈裟に言えば
私のひとりの人間としての人格を認めてくれるのかどうか。

女は、結局、いつか家庭に入るんだから
仕事なんてしたって意味がない。
キャリアなんて積んでも誰も認めてくれない。
それなら、料理のひとつも覚えた方が、役に立つ。

どう取り繕っても、ほとんどの男は、そう考えてる。
理解のあるような事を言っている人たちですら・・・。

ひとりの男を愛して、結婚して、家事をして
○○さんの奥さんと呼ばれ
子供を産んで育てて
○○ちゃんのお母さんと呼ばれ
夫と子供のために、生きて行く。

人間としての尊い営みを否定するつもりはない。

ひとりの男と生涯添い遂げる
母親として子供を愛し慈しみ
人様に迷惑を掛けることのない正しい価値観を教え
周りの誰からも愛される人格を育むことは
生涯を懸けても惜しくない
人間の本来在るべき素晴らしい姿。

生涯、独身で居たい訳じゃない。
でも今は、もう少し自分自身のために生きたい。

シャワーを浴びて、髪を乾かして
冷蔵庫からミネラルウォーターを出してひと口飲んだ。

机の上に、昨夜書いたデザイン。何かが、足りない。
何が、足りないんだろう。気持ちが、入ってない。

ふと、引き出しを開けて、目に入った物は
シュウとお揃いの携帯ストラップ。シュウ覚えてたんだ。

更新日:2010-07-31 13:43:18