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第67話 彼の者の魂は闇と共に、我が心は光溢れ
豪「『なんなんだよ、お前!
…幽霊って奴か!?』」
突然、真っ黒な虎の姿をしたゆらめく闇と共に現れ庵を包囲し、霧の峡谷を真昼だと言うのに当たり前のように夜闇に閉ざした張本人は何と―――5年前に亡くなった、朔夜家の長老であらせられる、閃虎様であった。
確実に死者である筈の長老を見ても全く物怖じせず、豪は真正面からご老体を詰問するのだが。
閃虎長老「ヒャッヒャッヒャ、まあそんなモンかのー?」
豪の叫びに対してはっきりとは答えず、はぐらかすような形で長老は彼の咆哮を…実にあっさりと受け流していた。
鈴「やはり、5年前………旅立つ私を見送って下さったのは―貴方なのですね、閃虎長老?」
流石に、間違い無く死んだ筈の自分がどうして、当たり前のようにこうして姿を現しているのか―――それについては、のらくらしていてガイウス以上に掴み所が無く、しかも無類の女性好きかつ超が付くお調子者である閃虎長老が話すとは思っていなかった鈴は、5年前の旅立ちの日に自分を見送ったのは長老であったのか、と聞くと。
閃虎長老「ンヒャ?
おー、そーいえばそんな事もあったかのー。
ウヒャヒャ、やっぱ二十歳にもなるとえー女になっとるモンじゃのー。
うーむ、流石はリンちゃん!」
鈴の質問に対しても、何処か曖昧にしか答えず――寧ろ、無遠慮と言うか当たり前のように彼女へと………ねちっこく、卑猥な視線を隠そうともせずに送っている。
レグルス「(この爺さん、テンションがおかしいな…いや、ただ単に正気じゃないのか……。)」
まだ遭遇して僅かな間だが、レグルスは閃虎長老を見ていて―――ふと思い起こす光景があった。
レグルス「…さてと、アンタ――敵なんだろ?
何の為に、この庵を襲う!」
閃虎長老「若いモンは直ぐに頭に血ばっかり昇っていかんのー。
じーちゃんはただ、リンちゃんのナイスバデー……いやいや、顔を見に来ただけじゃぞー?」
少なくとも…いつでも飛び掛かれるように牙を剥き体制を整えている周囲の、黒い虎の姿をした闇を従えている以上―閃虎長老が味方では無く、何らかの形で害を与える為に現れた敵、新たな脅威である事はほぼ間違い無いだろう………そんな風に思いながら、閃虎長老の目的を聞き出そうとするレグルス。
鈴「………確かに、長老の事です…臆面も無くそう言い切る事でしょう。
しかし―少なくとも私の知る朔夜閃虎と言うお方は……張り付いた上辺だけの笑顔を浮かべながら、殺気や鬼気を撒き散らすケダモノでは無かったと記憶しています―――その馬鹿にしたような不気味な哂い方と言い、今の貴方はもう…私達の知る長老では無い!!」
同じく、閃虎長老を幼い頃から良く知っている鈴は―生前の、自分が知る頃のままに見えるようで………その実、全身から立ち上る殺気や鬼気を隠そうともせず、張り付いた不気味な笑顔で自分達を見据える目の前のケダモノは――閃虎長老などでは無くなっている、と断言する。
閃虎長老「『ウッヒャヒャヒャヒャ!
まー流石に生きとった頃のままじゃないからのー……誤魔化し切れんかったかー?
まあいいんじゃ!
どーせ皆、ここでじーちゃんやこの者共と同じになって貰うんじゃからのー!?』」
鈴の言う所の『馬鹿にしたような不気味な哂い方』を一層強めながら、閃虎長老であった男は――いよいよ、殺気と鬼気を全て解き放ち…気になる最後の一言を合図にして、一斉に黒い闇の虎たちが4人を喰らい尽くさんと襲い掛かった。
…幽霊って奴か!?』」
突然、真っ黒な虎の姿をしたゆらめく闇と共に現れ庵を包囲し、霧の峡谷を真昼だと言うのに当たり前のように夜闇に閉ざした張本人は何と―――5年前に亡くなった、朔夜家の長老であらせられる、閃虎様であった。
確実に死者である筈の長老を見ても全く物怖じせず、豪は真正面からご老体を詰問するのだが。
閃虎長老「ヒャッヒャッヒャ、まあそんなモンかのー?」
豪の叫びに対してはっきりとは答えず、はぐらかすような形で長老は彼の咆哮を…実にあっさりと受け流していた。
鈴「やはり、5年前………旅立つ私を見送って下さったのは―貴方なのですね、閃虎長老?」
流石に、間違い無く死んだ筈の自分がどうして、当たり前のようにこうして姿を現しているのか―――それについては、のらくらしていてガイウス以上に掴み所が無く、しかも無類の女性好きかつ超が付くお調子者である閃虎長老が話すとは思っていなかった鈴は、5年前の旅立ちの日に自分を見送ったのは長老であったのか、と聞くと。
閃虎長老「ンヒャ?
おー、そーいえばそんな事もあったかのー。
ウヒャヒャ、やっぱ二十歳にもなるとえー女になっとるモンじゃのー。
うーむ、流石はリンちゃん!」
鈴の質問に対しても、何処か曖昧にしか答えず――寧ろ、無遠慮と言うか当たり前のように彼女へと………ねちっこく、卑猥な視線を隠そうともせずに送っている。
レグルス「(この爺さん、テンションがおかしいな…いや、ただ単に正気じゃないのか……。)」
まだ遭遇して僅かな間だが、レグルスは閃虎長老を見ていて―――ふと思い起こす光景があった。
レグルス「…さてと、アンタ――敵なんだろ?
何の為に、この庵を襲う!」
閃虎長老「若いモンは直ぐに頭に血ばっかり昇っていかんのー。
じーちゃんはただ、リンちゃんのナイスバデー……いやいや、顔を見に来ただけじゃぞー?」
少なくとも…いつでも飛び掛かれるように牙を剥き体制を整えている周囲の、黒い虎の姿をした闇を従えている以上―閃虎長老が味方では無く、何らかの形で害を与える為に現れた敵、新たな脅威である事はほぼ間違い無いだろう………そんな風に思いながら、閃虎長老の目的を聞き出そうとするレグルス。
鈴「………確かに、長老の事です…臆面も無くそう言い切る事でしょう。
しかし―少なくとも私の知る朔夜閃虎と言うお方は……張り付いた上辺だけの笑顔を浮かべながら、殺気や鬼気を撒き散らすケダモノでは無かったと記憶しています―――その馬鹿にしたような不気味な哂い方と言い、今の貴方はもう…私達の知る長老では無い!!」
同じく、閃虎長老を幼い頃から良く知っている鈴は―生前の、自分が知る頃のままに見えるようで………その実、全身から立ち上る殺気や鬼気を隠そうともせず、張り付いた不気味な笑顔で自分達を見据える目の前のケダモノは――閃虎長老などでは無くなっている、と断言する。
閃虎長老「『ウッヒャヒャヒャヒャ!
まー流石に生きとった頃のままじゃないからのー……誤魔化し切れんかったかー?
まあいいんじゃ!
どーせ皆、ここでじーちゃんやこの者共と同じになって貰うんじゃからのー!?』」
鈴の言う所の『馬鹿にしたような不気味な哂い方』を一層強めながら、閃虎長老であった男は――いよいよ、殺気と鬼気を全て解き放ち…気になる最後の一言を合図にして、一斉に黒い闇の虎たちが4人を喰らい尽くさんと襲い掛かった。
更新日:2010-08-29 11:00:49