• 1 / 3 ページ

タイトルなし



 はっ

 交流はうとうとしていた。日曜朝の報道番組を見ながら、船を漕いでいた。

 ふっ!んーん…

 伸びをしてみる。

「お姉ちゃん、お昼ね、おうどんでいい?」

 台所から通果の声がする。

「なんでも良いわよ」

「じゃ、おうどんにするね」

 夕がどこからかうどんを貰ってきたのは知っていた。やがて、金属の器に水が溜まる音がした。今、家には二人しかいない。両親は仕事で、夕も仕事。ふおんの補習をやっていた。

 交流の今日の予定は何もなく。久々に怠惰な時間を過ごしていた。

 キンコーン

 呼び鈴。

「私が出るわ」

 そう言ってインターホンに出る。

 !

 思わずぴくっとなる。インターホンのカメラが捉えたのは、何人もの背広を着た男だった。

『三日科交流さんのお宅ですね』

 交流の応えを待たずに言う。

『警察の者です』

 手帳を開いてみせる。

『三日科交流さんに証券取引法違反で逮捕状が出てます』

 白い、薄い紙を出す。

『我々も手荒な真似はしたくありません。ドア、開けてもらえますか?』

「お姉ちゃーん、誰だった?」

 通果の声が遠くに聞こえた。






更新日:2010-07-11 00:57:45

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook

「ふぉんコネクト!」短編小説「転寝(うたたね)」